規制議論再燃が相場の重石に:DOJ対BTC-eにみる米国の本気度

BTC/JPYは軟調地合い続く:今週は再び米で公聴会開催

先週のBTC/JPY相場は、週前半にかけて下値を模索する展開となった。22日にはインドで暗号資産(仮想通貨)禁止案を盛り込んだ報告書が発表され、翌23日にはTron創設者のジャスティン・ソン氏が腎結石を理由にウォーレン・バフェット氏とのランチ延期を発表するなど、悪材料が重なった。27日には、ICE(インター・コンチネンタル取引所)傘下のBakktのローンチが、ニューヨーク州金融サービス局の承認次第でQ3には可能との報道で相場は一時復調となったが、米司法省(DOJ)がBTC-e(現Wex)と運営者のアレクサンダー・ヴィニック氏(Alexander Vinnik)に対し1億ドルの民事訴訟を起こしたとの事実が拡散されると相場は急落し、週末は102万円から104万円のレンジで推移した。今朝方には、相場は心理的節目となる100万円の下抜けを試すも、節目での買い支えがあり反発。わずか1時間の間に3万円程の値幅で下に往って来いの展開を繰り広げた。

BTC-e(2011-2017)は、米カリフォルニア州に拠点があった仮想通貨の取引所で、運営者であったヴィニック氏は2014年に起きたMt.Goxハッキング事件で不正に流出した仮想通貨の資金洗浄を行った容疑が掛けられ2017年からギリシャで身柄を拘束されていた。今回の民事訴訟では、Mt.Goxの一件が背景にあるわけではなく、米国における金融規制に遵守していなかったとして、FinCEN(金融犯罪執行機関連絡室)がヴィニック氏に対し1200万ドル、BTC-eに対し約8800万ドルの罰金を求めている。

DOJ対BTC-eの一件には、昨今、仮想通貨関連事業者に対し規制を厳しくしようとする米国の姿勢が垣間見られる。フェイスブック社のLibra(リブラ)の発表を発端に、トランプ大統領が仮想通貨を嫌忌するツイートをしたり、ムニューシン米財務長官が仮想通貨関連事業者に対する規制強化を示唆したりするなど、米国は業界規制を徹底する動きに出始めており、事実、ムニューシン財務長官は新たな規制を繰り出す考えも示している。今回、こうした過去の事案を掘り返してきたことは、米国が不正に対し一切譲歩しないというスタンスを国内外に示す目的もあると考えられる。

明日30日には、米上院銀行・住宅・都市問題委員会が仮想通貨とブロックチェーンの規制枠組みを精査する公聴会を開く(日本時間30日午後11時開始)。当公聴会で新たな材料が出てくるか否かは不明瞭だが、米国における規制強化が色濃くなるなか、好材料が出るとは考えにくい。

今週は、この他、30日から31日にFRB(米連邦準備銀行)のFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、注目イベントが凝縮されている。今週のFOMCでは、0.25bpの利下げが市場では予想されている。利下げされるということは、金やリスク資産に資金が流入しやすくなると考えられるが、以前指摘した通り、仮想通貨がリスク需要の受け皿となるか否かはその時点でのトレンド次第と言える。よって、この先、仮想通貨の相場が復調となれば、米ドルの低金利の恩恵を受けることもあろうが、足元の軟調地合いでは利下げが好材料として機能する確度は低いと予想する。

【第1図:BTC対円チャート(4時間足)(価格:左目盛、出来高:右目盛)】


出所:bitbank.ccより作成

【第2図:主要暗号資産銘柄対ドル週次騰落率(7月22日〜28日)】


ステーブルコインを除く時価総額上位20銘柄
出所:coinmarketcapより作成

【第3図:主要アルトコイン対BTC週次騰落率(7月22日〜28日)】


ステーブルコインを除く時価総額上位20銘柄
出所:investing.comより作成

テクニカル分析

BTCの対円相場は、足元、7日、30日移動平均線を割り込み短中期で弱気相場を示唆。この先、90日線をサポートとして反発できるか注目される。ボリンジャーバンドでは、相場は-1σを挟み込みながら下落している。足元、バンド幅は収縮傾向にあり新たなトレンドの始まりを示唆しているが、相場はセンターラインの下で推移しているため、弱気となり易いだろう。一目均衡表では、強い売りシグナルと言われる三役逆転を示現している。

【第4図:BTC対円チャート(日足)】


出所:bitbank.ccより作成

週足では、相場はおよそ5ヶ月ぶりに7週線を終値で割り込んだ。ボリンジャーバンドでは、バンド幅上辺が折り返し始めており、一連の上昇相場の終わりを示唆している。この先は、センターライン(85.4万円)が目標地点として意識される。一目均衡表では、相場が転換線を割り込んでいるが、引き続き三役好転を維持している。

【第5図:BTC対円チャート(週足)】


出所:bitbank.ccより作成

PDFリンク
規制議論再燃が相場の重石に:DOJ対BTC-eにみる米国の本気度


免責: BTCNは仮想通貨・ブロックチェーン情報の提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。また、BTCNおよびビットバンク株式会社はBTCNで発信する情報の内容について、一切の保証や責務を負わないものとします。投資の判断や意思決定に関しては、BTCNの各利用者ご自身の責任において行って下さい。
情報開示: BTCNは、仮想通貨取引所「bitbank」を運営するビットバンク株式会社が運営しています。