コインベース、顧客情報提供の事実を否定

米暗号通貨取引所コインベースの広報担当者はコインデスクの取材に対し、個人の特定に繋がる顧客情報を外部機関へ提供したことはないと語った。コインベースのChristine Sandler氏は先週、以前提携していたブロックチェーン分析を行う企業がコインベースの顧客情報を売却していたと漏らしていた。

コインベースは提携していた企業の名称を明かしておらず、どのような顧客情報を提供していたかも公表していない。

ブロックチェーン・アナリティクスを専門とする企業の多くは、アドレスと取引履歴情報を照らし合わせ、ブロックチェーン上でどのような取引が行われているのかを分析している。通常、ChainalysisやElipticといった企業には取引所から顧客のアドレスや個人情報が提供されることはない。取引所は顧客のプライベートな個人情報を守る義務があるからだ。他方、不正な取引や犯罪に関わっている可能性がある顧客の情報は提供される場合がある。

インベースの最近の動向として注目されているのがNeutrinoの買収だ。Neutrinoの社員の一部は、「Hacking Team」と呼ばれるスパイウェア開発団体に所属しており、コインベースは買収前からこの事実を認識していた。

Hacking Teamが開発したスパイウェアは、市民の行動を監視しようとする政府や団体に活用されているケースがある。世界中で活動するジャーナリストの行動を把握しようとする際にも利用され、Washington Postによると、先月トルコで殺害されたジャーナリストのJamal Khashoggi氏の動きを探っていたサウジアラビア政府との関係もあるという。

暗号通貨コミュニティの間では、コインベースがユーザーの行動を監視する企業として動き出しているとし、ツイッター上でコインベースのユーザーアカウントを消去しようと呼びかける「#DeleteCoinbase」ムーブメントが巻き起こっている。

ユーザーからの批判を受け、コインベースのBrian Armstrong CEOはブログを新たに公開した。Armstrong CEOは、アメリカで取引所業務を行うには銀行に対する規制ルールであるKYC・AMLに従う必要があると説明し、Neutrinoの買収もデューデリジェンスに沿うためだとした。また、Haking Teamと関わっていた人物は解雇したと発表した。

暗号通貨市場には国の規制ルールに縛られることがなく、個人に経済的な自由を与えることができる部分に共感しているユーザーが多い。これは規制ルールが少ない国の取引所の取引量が多いことからも読み取れる。

アメリカなどの先進国で取引所を運営するには、強力な規制ルールが課されユーザーの個人情報や取引履歴を把握することが求められ、ユーザーからの需要とは相反する業務を強いられるというジレンマに陥る場合もある。


Coindesk
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