アラブ首長国連邦、仮想通貨法で明日にも進展 証券該当トークンの区別化も

激増するブロックチェーン企業による資金調達 法整備による規律

アラブ首長国連邦(UAE)の証券・商品委員会が公開した、同国初の暗号資産法案に関して、投資家を含む幅広い利害関係者から募集したパブリックコメントを明日29日に締め切る。原文とパブリックコメントを元に、法案が成立する可能性がある。

UAEでは、2019年第1四半期におけるブロックチェーンのスタートアップ企業の資金調達額が世界最大の2億1千万ドルに達するなど、世界的にもブロックチェーン企業が盛んな地域でもあり、その注目度も高い。

暗号資産法案の原案は28条から成り、その範囲は、暗号資産の種類から取引所、カストディまで幅広く網羅されている。

現在、条文の説明後に記載されたオンラインフォームでパブリックコメントの募集を行なっており、明日にも期限を迎え締め切る予定だ。

第1条によると、暗号資産は商品系トークン(Commodity token)と証券系トークン(Security token)の2種類に分類される。

また、商品トークンは、また規制対象となるトークンとその他トークンに分かれ、証券系だけでなく商品系トークンに関しても規制対象に該当するものも出てくるという。これらのトークンは、第8条に基づき運用される。

証券トークンについては、第4,7,10条の計3条項で明記されているもので、証券の該当性、証券の種類の該当性、発行、書類申請について規定されている。

海外、国内のプロジェクトに問わず、証券に該当したものは、UAE国内に拠点を持たないといけないとされている。

また、証券に該当するトークンの場合、基本的に証券購入できるのは適格投資家や機関投資家などに限定され(私募証券)、それ以外の投資家が購入するケースは、個別に同委員会による事前の許可が必要となるという。

カストディサービスも認可が必要

暗号資産のカストディについては記載される条項や、取引所に関するものもある。

日本と同様、取引所の運営は同委員会の認可(ライセンス)が必要であるとしており、カストディサービスについても提供する企業も認可が必要であるとしている。

一方、カストディサービスについては、採用する技術および機器に関する条件はなく、サービス提供者が責任を持って提供する必要があるとしており、「別のアカウントまたはウォレットを顧客一人一人に作り、保有する暗号資産の取引と詳細を保全する」、顧客が保有する暗号資産は、常にカストディサービス事業者のアカウントとは別にする」との条件が加えられている。

UAEのブロックチェーン事業が加速度的に発展していく状況を踏まえ、政府の法整備も本腰を入れ始めたと言えるだろう。