ICEが暗号資産の取引データを新規追加、市場の健全性を高めることに期待

ニューヨーク証券取引所の親会社であるThe Intercontinental Exchange(ICE)は、取引データを配信する暗号通貨銘柄を追加することを発表した。ICEはBlockstreamと提携しており、データ配信を通じ健全な市場の発展を促している。

ICEはビットコイン、イーサリアム、XRPといった主要な暗号通貨を含めた58種類のコインの市場データを配信する。バイナンス・トークンが上位のコインで唯一含まれていない一方、バイナンス・トークンと同様に取引所が発行するフォービ・トークンは含まれている。

ICEの取引データは、暗号通貨の適正価格を発見しようとする投資家やトレーダーの手助けとなるツールとして配信される。取引データはリアルタイムにアップデートされ、ヒストリカルデータも見ることができる。世界中の取引所で取引される暗号通貨のデータを集計する。

ICEの計画では今後、ビットコインの取引サービスと管理サービスを提供する「Bakkt」のローンチが控えている。昨年8月にBakktの存在を明かしたICEだが、サービス開始の準備に時間がかかっており、現在のところ正式にスタートする時期については不明だ。

暗号通貨市場では価格の操作を目的として偽のオーダーブックや取引量を作り上げているとの報告があり、ICEのような金融機関が取引データの配信を始めることは、市場へといい影響を与える可能性がある。

多くのメディアでは今年に入り、CoinMarketCap(CMC)のデータを参照し暗号通貨市場の取引量が増加傾向にあると報じている。上図を見ると、現在の取引量は昨年5月と同等の水準にある。

一方、取引所のオーダーブックや約定履歴などを分析し市場調査を行うCrypto Integrityは、2019年2月に記録された取引データの88%がフェイクだった可能性があることを報告している。

Crypto Integrityは、買い板と売り板のスプレッドデータや約定データを元に偽の取引が行われているかを分析した。正確な取引データとしてCoinbaseのデータと比較して検証が行われた。

Bit-Z、 ZB.COM、CoinBene、LBank、Huobi Global、BW、HitBTC、IDAX、BitMart、CoinTigerなどの取引所で偽の取引が行われていると報告されており、CMC上の取引所ランキングでトップ10にランクインしている取引所もある。

現状、暗号通貨市場から出されるデータの正確性を検証する仕組みが不完全であるため、投資家やトレーダーは投資判断を誤らないために取引データの解釈には十分な注意が必要だ。


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