米財務長官の発言
ムニューシン米財務長官とジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長には、デジタル版の米ドルを発行する意思はないようだ。
下院金融サービス委員会の公聴会でムニューシン長官は、仮想通貨リブラと中国が発行を視野に入れているデジタル人民元に関する議員の質問に回答した。ムニューシン長官は「パウエル議長と私はデジタル通貨について長い間議論してきたが、FRBは5年以内にこれを発行する必要がないことで同意している」と説明した。
当面のデジタルドルの発行は否定されたが、一方で、ムニューシン長官がリブラに反対していないことは注目に値する。
公聴会では、「顧客や銀行口座を持っていない米国民の利便性が向上するのなら、私はフェイスブック社がデジタル決済に参入することに賛成だ。ただし我々は、資金洗浄規制に準拠しているか十分に確認する必要がある」と語った。
さらに規制上の懸念点についてフェイスブック社と何十回も会合を重ね、その結果リブラプロジェクトの進行が遅れていることにも言及した。
FRBはデジタル通貨を発行するメリットを探ってきたが、最近、パウエル議長は「金融政策を実行する際に、既存の米ドルを上回るような便益を得ることはできない」とした。デジタル通貨を発行する代わりに、年中無休で利用可能な即時決済システムの開発に着手している。
欧州中央銀行(ECB)もまたデジタル通貨発行のメリットを探り続けてきた。実際、民間企業がクロスボーダー決済をより速く安価にすることができなければ、デジタル版ユーロを発行する可能性があると示唆している。
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その他の中央銀行もデジタル通貨発行に前向きだ。フランス中央銀行の総裁が先日、デジタルユーロの試運転を来年Q1に実施する計画を明かした。また、アジアでは中国の中央銀行がデジタル人民元の発行を視野に入れている。