5G時代の仮想通貨取引
英有力紙The Guardianは、独自の調査内容を元に、「2025年までに、銀行口座を持たない(発展途上国などの)スマホ所有者のうち、約半数が日常の金融取引に仮想通貨口座を使用する」との予測を示した。
世界銀行によれば、銀行やATMなど金融機関への物理的な距離や貧困、個人情報の身分証明(KYC)などを理由に「銀行口座を持てない成人」の数は、世界全体でおよそ17億人に上るというデータもある。
中東および北アフリカ(MENA)地域では、国民のうち2/3もの人々が諸事情により、銀行口座を保有出来ていない。その一方で、比較的入手が容易なスマートフォンなどモバイル端末の普及率は、全人口の70%に達しているとの指摘もある。
ガートナーの責任者Miriam Burt氏は、「発展途上国の人々は現状、従来の金融サービスを満足に利用することはできない。しかし今後、次世代モバイル通信である5GのSIMカードなどが普及すれば、仮想通貨がMENA地域(中東と北アフリカを合わせた市場)だけでなく、世界的にもモバイル決済およびデジタルウォレットの利用対象になる機会が生まれ、金融包摂率も向上し得る」と見込んでいる。
米中の主導権争いも
また、中国が5Gサービスとブロックチェーン分野で先導することを予測。5G技術を海外企業に輸出すれば、スマホで仮想通貨取引や決済を行えるインフラは整備されるとの見解を示した。
現時点で5Gのインフラをもっとも製造している企業のひとつは、中国大手IT企業Huaweiとされる。また、米国は中国の5G覇権を抑制するため、米国内だけでなく海外に向けて部品などを売り込むなど、次世代通信関連サービスの普及に向け、”制空権”を握ろうとする動きも垣間見える。
仮想通貨・ブロックチェーンにとってもインターネット及び通信速度、およびネットワークの一般化は、利用の追い風となり得るだろう。
参考:The Guardian