暗号通貨取引所Bitfinexの親会社であるiFinexが自社トークン「LEO」を発行するにあたりホワイトペーパーを公表した。ホワイトペーパーは特定の投資家向けに作成されたもので、アメリカやカナダを含む一部の地域に在住する投資家への販売は制限されている。
iFinexは10億ドル相当のLEOを発行し販売する予定で、プライベートセールは5月11日まで実施される。プライベートセールでは1LEO=1USDTの価格で販売される。プライベートセールにて10億ドルの目標資金調達額に達しなかった場合、パブリックセールが実施される可能性がある。
調達資金はBitfinexやTetherなどの事業運営費に充てられるほか、支払い代行サービスを提供するCrypto Capitalとのやり取りで発生した8.5億ドル相当の損失の補填にも充てられる。損失はニューヨーク州の司法長官事務所がiFinexを訴えたことで世間一般に知られるようになった。
ホワイトペーパーによると、LEOの保有数に応じてBitfinexのプラットフォームを利用した際に発生する取引手数料がディスカウントされる。入出金の際の手数料も割引されるため、Bitfinexを利用するユーザーには保有するメリットが見込まれる。
さらに今後Bitfinexにデリバティブ取引が追加されることが決まっており、LEOの保有ユーザーはこちらのサービスでも様々な優待が受けられるようだ。
ホワイトペーパーには2018年に4億ドルの純利益があったことも記載されており、投資家に対し事業運営の健全性をアピールしている。一方、数字はiFinexが行った試算によるもので、監査を受けた透明性があるデータとは言えない。
iFinexは今後、BitfinexやTetherなどの関連会社の月々の売上高の27%に相当する資金を使って市場に出回るLEOを買い戻す。買い戻したLEOはバーン(焼却)され、最終的にトークンの総数が1億LEOになるよう調整される。
自社トークンをバーンすることで総供給量を徐々に減らすスキームはBinanceが発行するBinance Coin(BNB)と同様だ。
2019年に入りBNBのような暗号通貨の価格が高騰するなど注目が集まる取引所トークンだが、iFinexが発行するLEOは実質デットエクイティスワップのようなスキームで、調達した資金の多くが負債の返済に充てられるためリスクが高いと考えられる。
市場で取引される際の価格が気になるところだが、まずはプライベートセールで目標額である10億ドルを調達できるか否かに注目だ。