EthereumがPoSへ移行するためのテストネットをリリース

Ethereumの開発チームはロードマップ「Ethereum2.0」の第一段階として、PoSへ移行するためのテストネット「Sapphire Testnet」をリリースした。Ethereumは今後、複数回のアップグレードを経て、コンセンサスアルゴリズムを現在のPoWからPoSへと移行させる。

Ethereumのスケーリング問題に取り組むPrysmatic LabsのPreston Van Loon氏が、ブログを公開しテストネットの概要を説明した。Ethereum2.0では、まずPoWに一部PoSを加えたコンセンサスへ移行する。その後PoSへと完全移行する。

Preston Van Loon氏は、Ethereum2.0のアップグレードではハードフォークを行わず、新たなブロックチェーンの運用を開始するとした。現在のEthereumのチェーン上にあるトークンは、スマートコントラクトを使って新たなチェーンへと移される。

Ethereum2.0の新たなチェーンが完成した後、現在稼働しているチェーンは破棄される予定だ。つまり現在動いているチェーンは実質的にEthereum2.0のテストネットということになる。

Ethereum2.0では、マイナーが排除されユーザーがETHをステークすることでバリデーターとなり取引の検証作業を行う。テストネットでは実際にユーザーが3.2ETHをステークしバリデーターになることができる。ただしバリデーターの数には制限があるようだ。

今回リリースされたテストネットでは、スマートコントラクトの機能はなく今後のリリースで追加される予定だ。また、現在のEthereumのgethやparityのように複数のクライアントは存在せず、Prysmatic Labsが開発するクライアントのみとなっている。

Ethereumは開発の遅れから、ロードマップの変更を繰り返しており投資家やユーザーの混乱を招いている。2016年に発表されたロードマップでは、2018年にPoWとPoSが並走している状態にあるConstantinopleが完了し、2019年にSerenityが実行されPoSへ完全移行している予定だった。

新たに公開されたロードマップEthereum2.0では、2021年までにPoSへと完全移行する予定とされている。今回のテストネットのリリースで、開発が徐々にではあるものの進んでいることが伺える。一方、2021年までにEthereumの完成形とされるPoSのネットワークへの完全移行ができない場合、投資家やユーザーの信頼を損ないETHの価格にもネガティブな影響を及ぼすケースも想定される。


Prysmatic Labs Blog