Tetherの準備金の一部がビットコインで賄われていたことが判明

ニューヨーク州司法長官(NYAG)とiFinexの間で行われている裁判記録からTether(USDt)の準備金の一部がビットコインの購入や他の投資資金に流用されていたことが判明した。iFinexはドルのペッグ通貨USDtの発行元であるTetherや暗号通貨取引所のBitfinexの親会社だ。

Tetherは元々1USDtに対して1ドルの準備金を用意していると利用規約に記していたが、今年3月にこれが変更され一部の準備金には現金の他に、流動性の高い資産や貸出金も含まれるとされている。

The Blockの報道によると、USDtの準備金の現金比率は74%で残りの26%はビットコインなどの暗号通貨を含めた資産が占めている。流動性が高い安全資産というのがUSDtのセールスポイントだったが、ビットコインなどのボラティリティが高い金融資産が裏付けとなっている点により矛盾が生じている。

ステーブルコインを発行する会社に対する規制や法律は存在しないため、iFinexのオペレーションが違法であると断定することはできない。一方、利用規約を突如として変更したり、準備金の一部を流用していることを公表していなかった点は誠実性に欠ける。

準備金の一部をビットコインのようなリスク資産へ投資していることに関して、資産価格が上昇している時期はオペレーションに問題は発生しないが、価格が下落した際には準備金に不足が生じる可能性がある。また、顧客からの大量の出金申請があった場合、ビットコインを現金化する必要があり価格の下落圧力になるだろう。

BitfinexやTetherは22日、ブログを更新し最近の裁判でNYAGの訴えが法律上の正当性に欠けるとの判断が下ったことを報告した。BitfinexやTetherはニューヨーク州で営業を行っておらず、証券詐欺事件などに用いられるMartin Actを海外の企業や、海外に保管されている情報に適用することは難しいとされた。NYAGが訴えを続けるには追加の証拠資料を提出しなければならない。

暗号通貨関連のサービスは国境を超えて提供されるため、捜査や立件が難しく法の保護の外側で行われることがほとんどだ。TetherやBitfinexのオペレーションには不透明感が残るが最終的な利用判断はユーザーに委ねられる。


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