BTC相場軟調で金価格急騰か、先物は5週ぶりにロング減少

相場動向概要

BTCの対ドル相場は先週、週明け3日より8750ドル付近から急落し、翌4日には7750ドル付近まで安値を広げた。これにより、相場は、12日、17日安値(6815.77ドル、7038.12ドル)と14日高値(8268.71ドル)を起点とする上昇チャネル下辺(トレンドライン)を割り込んだ。相場はその後、8000ドル上抜けを試すも、同トレンドラインがレジスタンスとなり反落。足元7600ドル周辺で推移している。相場のチャネルブレイク後の目標地点は、そのチャネルと同等の幅と言われるため、この先は6800〜7200ドル周辺が下値目途となるだろう(第1図内オレンジ破線)。

先月30日にBTCの対ドル相場が9000ドル台の維持に失敗したことで、主要アルトコインも対ドルで先週は概ねモメンタムを失い下落に転じ、EOSとTRXは20%以上の下落率を記録した(第2図)。また、主要銘柄内で上昇につけたLTCとMKRも1%以下の小幅高に止まった。

先週の主要アルトコインの対BTC相場は高安まちまちとなったが、上述のLTCとMKR、加えてXMRは10%を超える上昇率を記録した(第3図)。一方、前週の主要アルトコインの対BTC相場は概ね全面高となっていたため、足元では対ドル相場と共に市場全体の上昇モメンタムが後退していることが指摘される。

CFTC(米商品先物取引委員会)が現地時間7日に発表したCOTレポートによると、ファンド勢のネットポジションは、前回(5月28日)の-54から-377とショートが拡大した。また、4月30日から積み上げられてきたロングが先週は548枚手仕舞われ、5週間ぶりにロングが減少した。ロングとショートの相対的な勢いを示すCOTインデックスは、前週比-12.47ポイントの65.71%となり、相対的には依然強気筋優勢を示唆している。一方、先週は同インデックスが高い水準で推移していたため、今週の下落は早期のトレンドリバーサルのサインともなり得るだろう。ロングポジションが手仕舞いされ始めている点も、同様のことが言える。

【第1図:BTC対ドルチャート】


出所:coinmarketcapより作成

【第2図:主要暗号資産銘柄対ドル週次騰落率(6月3日〜9日)】


出所:coinmarketcapより作成

【第3図:主要アルトコイン対BTC週次騰落率(6月3日〜9日)】


出所:investing.comより作成

【第4図:米先物ファンド勢ネットポジション(緑棒グラフ、右目盛) 、COTインデックス(ピンク線グラフ、左目盛)チャート(週次)】


出所:CFTCより作成

BTC相場のモメンタム鈍化に伴い金相場急騰、足の速い資金が逃げ出したか

先月は、「BTC相場が上がっている」ということを背景に、株式市場や中国からの逃避資金が暗号資産市場に流入している可能性があると指摘したが、先月30日にBTCの対ドル相場が一時9000ドル台に乗せ反落に転じてからは、金の相場が急騰している(第5図)。

安全資産として代表的な金だが、今年は米中貿易摩擦の激化や世界経済の下振れリスクが取り沙汰されるなか、その相場は下落基調にあった。こうした状況下で相場が急上昇していたBTCをはじめとする暗号資産は、「金に替わる価値の保存方法」とも指摘されていたが、BTC相場の反落により、逃げ足の速い資金が金市場に集まっている模様だ。

そもそも、株式市場から暗号資産市場に流入する資金はヘッジが目的な上、リスクにも敏感に反応するため、あまりにも短かったBTC対ドルの9000ドル台での滞空時間を受け、「リスク回避のさらなるリスク回避」で市場から資金を引き上げ、その一部が金市場に流入したのだろう。尤も、今月5日からの金相場の上昇は、市場の予想を遥かに下回ったADP雇用統計(米)を受け、利下げ観測が強まったことが挙げられるが、5月31日から今月3日にかけての相場上昇に関しては特に目立った材料もないため、暗号資産市場から逃避資金が流入したと指摘される。

金相場は足元下落しているが、この先もBTC相場が軟調推移となれば、暗号資産市場への新たな資金流入が減少するに加え、市場から金のような安全資産に資金が流れ出ることだろう。

【第5図:金スポット対ドルチャート】


出所:investing.comより作成

テクニカル分析

BTCの対ドル相場は9日、7日移動平均線が30日線を割り込みデッドクロスを示現。30日線は横向きになり、中期的に相場が横ばいであることを示唆している。相場は先週、ボリンジャーバンドのセンターラインを割り込み、弱気相場を示唆している。9日には-1σをも割り込み、この先は-2σ(7350ドル)が下値目途として意識される。一目均衡表では、相場が8日に基準線を割り込んだ。また、遅行スパンが逆転しており、早期の売りシグナルが点灯している。

【第6図:BTC対ドルチャート(日足)】


出所:coinmarketcapより作成

BTC対ドルの週足チャートでは、7週移動平均線が90週線でゴールデンクロスを示現。週末は相場が下落に転じたが、7週線がサポートとして機能している。ボリンジャーバンドは、バンド上辺が依然拡大傾向にあり、相場が上がりやすいだろう。相場も上昇バンドウォークを維持しており、依然強気相場であることが指摘される。一方で、相場が1σ(7118ドル)を割り込めば注意を要するだろう。一目均衡表では引き続き遅行スパンと均衡表が好転しているが、相場が抵抗帯の中で推移しているため、揉み合いとなりやすいだろう。

【第7図:BTC対ドルチャート(週足)】


出所:investing.comより作成


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