IRS、暗号通貨トレーダーへの監査強化を示唆

米国内国歳入庁(IRS)は暗号通貨取引から利益を得ている人への監査を強化する方針であることがわかった。IRS職員のMary Beth Murphy氏は先週ニューヨークで開かれたフォーラムに出席し、暗号通貨取引の利益の申告漏れが多く存在するため解決に向けた取り組みを行っていることを明かした。

Murphy氏はIRSの特別プログラムにより利益の申告漏れがあった複数の納税者を特定している。申告漏れがあった納税者には通知書が送付される。IRSは暗号通貨取引所へ協力を要請し納税者の利益の把握に努めている。

IRSは以前から米暗号通貨取引所のCoinbaseに対し1万を超える数の顧客情報の提供を求めている。要求されていた顧客情報は氏名、生年月日、住所、ソーシャルセキュリティーナンバー、取引履歴などが含まれる。

暗号通貨は今年に入り全体的に価格が上昇しており、取引から利益を得ている投資家も多いと見られている。主要の暗号通貨であるビットコインとイーサリアムの価格は今年の初めと比べ約2.6倍にまで上昇している。

アメリカでは暗号通貨取引のキャピタルゲインに対する課税方法は大きく分けて2つに分けられており、1年以上保有したか否かで税率が異なる。保有期間が1年未満の短期キャピタルゲインは、課税所得に加算し最大で39.6%が課税される。保有期間が1年を超える長期キャピタルゲインは分離課税となり最大で20%が課税される。

アメリカのアリゾナ州やオハイオ州ではすでにビットコインを使って納税することができる制度が導入されている。ビットコインで支払う場合、キャピタルゲインに対して課せられる税金を差し引いた金額が納税額となる。

IRSは2014年に暗号通貨取引の利益に対する課税のガイダンスを公表しているが、不透明な部分があるとの声が多く聞かれた。これを受けIRSは先月、暗号通貨取引に関する新たな課税のガイドラインを近々更新することを発表している。


Bloomberg
Coindesk