- BTCでの支給について「気に入った」米大統領選挙候補
- 2020米大統領選の民主党有力候補Andrew Yang氏は有名ユーチューバーとのポットキャストにて、基本所得保障政策におけるBTC払い案に対して、「気に入った」と肯定姿勢を見せた。
BTC支給「気に入った」米大統領選挙候補
2020年のアメリカ大統領選挙における民主党候補の1人、仮想通貨支持を公言する起業家のAndrew Yang氏は、「自由の配当」(Freedom Dividend)と呼ぶ基本所得保障(UBI)を政策の柱に掲げ、圧倒的な実績と知名度を誇る他の候補者と差別化を図ってきた。
そのYang氏が、チャンネル登録者数2140万人を抱えるユーチューバー、Ryan Higa氏のポッドキャスト番組に出演し、仮に基本所得保障(UBI)の支払いにビットコイン(BTC)が使われ、「基本所得保障」となったら、とのホストの問いに対し、次のように肯定的に答えている。
その考え方気に入った!なぜなら私は、多くの原則を仮想通貨コミュニティの友人たちから学んできたからだ。それが仮想通貨コミュニティの大半が、基本所得保障(UBI)や自由の配当というアイディアに賛同している理由だ。
政治家としての経験がなく、立候補当初は泡沫候補としてしか扱われていなかったYang氏だが、SNSやポッドキャストなどを駆使したキャンペーンで、特に若い層からの支持を集めている。
これまでにも、「経済に対する私のビジョンは、仮想通貨コミュニティの人々と極めて一致している。」と述べており、明確にイノベーションを促進する仮想通貨規制を求めていく姿勢を表明している。
このポッドキャストでも、仮想通貨やブロックチェーンに対する信頼について、次のような言葉で表現している。
仮想通貨コミュニティには多くの友人がいるし、基盤となるテクノロジーには特に信頼をおいている。
ブロックチェーンには無数の可能性があるが、他の多くのテクノロジーと同じように、今では過剰な期待が少々誇張されてしまい、現実からかけ離れてしまった感がある。
しかし、その基盤となるテクノロジーは非常に強力だ。このようなサイクルで起こることの常として、まず、過剰な期待が起こりバブルが弾けるが、時間の経過とともに、現実の方が追いついてくる。
意見の分かれる基本所得保障(UBI)
Yang氏のUBI政策に対する「本気度」は、先週行われた第3回民主党討論会の冒頭陳述で、試験運用プログラムとして「無作為に選ばれた10人に月に1,000ドルを1年間提供すること」を約束する形で示され、さらに大きな注目を集めた。
この発表の翌日、仮想通貨トロンの創始者ジャスティン・サン氏は、Yang氏のUBIイニシアチブに対し、100人分となる120万ドルの支援を行うことを表明している。さらに、その対象者となった一人を、ウォーレン・バフェット氏との昼食に招待するとも述べ、話題となった。
ますます進展するIT化やAIの台頭により、既存の多くの仕事が自動化され社会構造が大きく変化する中、現在の資本主義が限界にきており、富の再分配方法を変えた「新しい資本主義」の流れとして、Yang氏は、UBIの導入を訴えている。
UBIの概念には、テスラCEOのイーロン・マスク氏やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏らが支持する立場を表明している。ザッカーバーグ氏は、経済的安定をサポートすることで、起業家精神を後押しする手段としてのUBIを主張している。
しかし、他の民主党候補の大半は、「その前にやるべきことがたくさんある」との立場であり、ノーベル賞を受賞した二大経済学者のポール・クルーグマン氏とジョセフ・スティグリッツ氏もUBIには難色を示している。
フィンランドで行われ、今年発表されたUBIの試験プログラムの結果は、心身の健康度や幸福度が増し、将来への自信が増すことが明らかになった一方、就職を促すことには繋がらなかったと報告されている。
米カリフォルニア州のストックトンでも、現在UBIプログラムが試行されているが、アメリカ社会の評価は大きく分かれるようだ。2018年のGallupによる意識調査では、回答者の約48%が、AIにより仕事を失った労働者を支援するためのUBIプログラムを支持する一方で、52%は反対という結果が出ている。
それでも、UBIは多くの人々の関心を集める政策であることに変わりはなく、熾烈な戦いとなる大統領候補戦を勝ち抜くため、UBIに焦点を当てたYang氏の戦略が今度どのように展開していくか、興味は尽きない。
参考:ポッドキャスト番組