ハッシュレートの変動性が増加
大手仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXの研究部門が、ビットコインキャッシュ(BCH)のハッシュレートの変動性(Hashrate Volatility)が10月に増加したと発表した。
ハッシュレートとは、マイニングをする際の1秒あたりの採掘速度。ハッシュレートの増加は、マイニング参加者の増加を示すものであり、51%攻撃への耐性などセキュリティの向上を見込めることからポジティブなサインとして捉えられている。今回の調査はこの数値の変動性に関するものだ。
今回の調査の背景には、BCHのハッシュレートの変動性が、ブロック生成時間を元にすると、高水準にあると懸念する声があったようだ。人為的な操作が行われていると不安視されている。上記のグラフを見ると、確かに10月開始当たりで変動性が上昇に転じている。
研究チームによると、ブロック生成時間を元にハッシュレートを計算しており、そのブロック生成時間がランダムで変わりやすいプロセスのため、ハッシュレートの短期間の変動が単にランダムなのか、実際に変動しているのかを見分けることは難しいという。
そのデータの質を向上させることは困難で、BCHの信頼性の低下につながる可能性はあるが、現時点では大きな問題はないというのがBitMEX研究チームの見解だ。
今回は10月におけるBCHの採掘難易度、ブロックのタイムスタンプ、またノードがブロックを承認する時間について基本的な分析も実施されている。以下のグラフは、ビットコイン(BTC)とのブロック間のタイムインターバルの比較だ。BCHの方がブロック間の時間の変動が大きいことが分かる。
それだけではなく、BCHの変動の幅に一定の規則性が見られる。この周期的な繰り返しが操作を示唆しているとも考えられるが、そこにも直接的な証拠は見つからなかっていないと説明している。
BCHはビットコインのようにマイニングの競争が激しい通貨ではないため、ある程度の変動はあるというのが研究チームの見解だ。
BitMEXの研究部門は他にもデータを調べているが、10月の変動性の高さから操作が行われた可能性はあるものの、その直接的な証拠は発見できなかったと説明。本内容を即座に解決できる方法はないが、BCHの有用性への影響は今のところほとんどないと述べている。よって緊急性もないと判断した。具体的な原因が明確にならなければ、我慢してリサーチを継続するしかないと結論付けている。
即座に実行できるわけではないが、潜在的な問題を解決する方法は、ハードフォークだという。BCHは今月ハードフォークによるアップグレードを予定している。しかし本問題を解決するためのものではない。
関連:ビットコインキャッシュが11月15日頃にハードフォークを予定
参考資料 : BitMEX Research