インドもブロックチェーン推進へ
インド政府は新興技術に特化する国策の一環として、ブロックチェーンの導入へ動き出した。
インド政府で電子情報技術を担当する国務大臣は27日、技術の可能性や様々な活用事例を考慮しながら、ブロックチェーン導入に向けた国家レベルでの体制を準備中だと語った。
なお「ブロックチェーンは重要なリサーチ分野の1つだ。ガバナンスや銀行、金融、サイバーセキュリティといった領域で活用できる可能性を秘めている」と説明している。
本政策のために、電子情報技術局も「Distributed Centre of Excellence in Blockchain Technology」という名称のブロックチェーンプロジェクトをサポートし、銀行技術の開発・研究を行う機関を初めとする他の政府組織とも連携している。
電子情報技術局は、学歴や売買の証明といった様々なユースケースを念頭に、ブロックチェーンを活用して存在を証明する「Proof of Existence(PoE)」の基盤を開発中だ。
Dhotre氏は「PoEの枠組みを利用することによって、学歴を証明するためのソリューションを開発できる。またブロックチェーンを活用して、自動車のライフサイクルやホテルの記録の管理のために、『概念実証(Proof-of-Concept:PoC)』の基盤も構築している」と話す。
不動産登記へのブロックチェーン活用はすでに進んでおり、インドのテランガナ州で実証実験が行われている。他には主に、貿易金融、クラウドセキュリティ、本人確認(KYC)といった分野での活用に向けて開発を進めているという。
国策としてのブロックチェーン戦略は先月中国でも発表された。インドも参入することで、世界人口1、2位の大国らが今後主導権を握る可能性があると見られる。
仮想通貨ではなくブロックチェーン
インドの動向は、ブロックチェーンの活用を推進するもので、仮想通貨を普及させるものではないと見られる。インドでは仮想通貨取引を禁止する法案が提出されており、仮想通貨の利用で最大10年の禁固刑を課すことも検討中だ。
またインド準備銀行(中央銀行)は昨年4月、各銀行が仮想通貨の取引所や関連企業へサービスを提供することを禁じた。それから複数の取引所がこの決定を取り消すよう請願書を提出しているが、インドの最高裁判所で判断が止まったままだ。本件に関する聴取は1月に予定されている。
「仮想通貨ではなくブロックチェーン」という点において、中国の政策に類似している。
仮想通貨に対する規制は不明確な部分が多く、それが理由でKoinex、Coindelta、Coinome、Zebpayといった取引所が閉鎖に追い込まれた。
一方、バイナンスは先週、インドへ取引サービスを提供するために、同国の仮想通貨取引所WazirXを買収したことを発表。WazirXのCEOはThe Blockに対し、「インドの仮想通貨の環境は良くなると信じている」と語った。