「デジタル通貨は発行する価値がある」英中銀がCBDCの考察を発表

CBDCのディスカッションペーパーを発表

英国の中央銀行である『イングランド銀行』は12日、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関するディスカッションペーパーを発表した。

57ページに及ぶ内容の中で、価値の保存や、日常生活およびビジネスにおける決済のために設計されたCBDCについて、概要を説明している。

「お金や決済のあり方に大きな変化が起きているため、我々はCBDCに関心を持っている。現在は銀行が発行する通貨の利用は減少し、決済企業のサービスの利用が増加しており、技術の進歩が変化を促進している」と述べている。CBDCは利便性の高い決済環境や国際送金など、多くのユースケースを生み得るとした。

一方で金融政策や金融の安定性への影響など、課題やリスクもあると説明。「預金残高が民間の銀行から中央銀行のデジタル通貨に大きく移行すれば、イングランド銀行と商業銀行の両方のバランスシートに影響を与える。その影響は、銀行の信用や金融政策、金融安定性にも波及する可能性がある」と述べている。

今回のディスカッションペーパーで注目すべき点は、イングランド銀行が、民間での利用と決済インフラの両方の面で、CBDCの価値を認めているところだ。実際に導入するかは決定していないが、CBDCを発行した場合、英ポンドでの表記になると説明。CBDCの10ポンドは常に、法定通貨の10ポンドと同じ価値になると述べている。

最終的にCBDCは、既存の通貨を置き換えるというよりは、現金や民間銀行の預金と並行して利用すると結論づけた。

Mark Carney総裁は、CBDCを導入する場合は、非常に注意深く設計を行う必要があると説明。「本内容は政府としっかり検討する必要がある。今回発表したディスカッションペーパーは、今後の研究の基礎にすべきだ。そして、銀行や決済企業、技術を提供する企業や消費者など、CBDCに関係する人々の間の意見交換にも活用して欲しい」と語っている。

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またCBDCのメリットやリスク、実用性について、関心のある人は誰でも意見を述べて欲しい説明。ディスカッションペーパーは意見を募集するため、2020年6月12日まで公開しておくという。

イングランド銀行はCBDCについて、日銀や欧州中央銀行らとともに4月に会合を行う。会合の結果を報告書にまとめ、年内に発表するとみられている。

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