ALISの事例から見る、国内規制状況と仮想通貨「新規上場」の機運は

ALISの事例から見る、国内規制状況と仮想通貨「新規上場」の機運は
国内規制状況と仮想通貨「新規上場」の機運は
日本発の仮想通貨ALISが公式サイトで、仮想通貨市場における現在の国内規制状況などの考察を掲載。当局の動きを鑑みて、業界動向の変化に対応するためのマネタイズ施策を示した。

業界動向の変化に対応するためのマネタイズ

日本発の仮想通貨ALISは、「ALISに関する今後の方針」を更新。仮想通貨市場における現在の国内規制状況など、当局の動きを鑑みて業界動向の変化に対応するためのマネタイズ施策を示した。

ALISとは、ブロックチェーン技術を用いた分散型ソーシャルメディアプラットフォームであり、トークンセールで13,000ETH(当時の時価で4億円相当)を調達。

2018年4月にクローズドβ版を公開してから1年になり、2019年度は、alis.toを通じたマネタイズも視野に入れ、企業向けのブロックチェーン事業コンサルティング・開発支援を行って行く予定とする。

ALISは、目指すビジョンとして「信頼の可視化で人のつながりをなめらかにする」ことを掲げている。

国内の規制状況に対する見立て

ALISによれば、やはり注視すべきは国内の「規制動向」だ。

金融庁は3月15日、仮想通貨(暗号資産)及びセキュリティトークンについて、資金決済法と金商法の改正案を国会に提出、閣議決定された。

ビットコインなど仮想通貨の呼称が「暗号資産」に変更されるほか、顧客資産流出時の弁済に備える資産の確保などを義務づけるものだ。

この点を踏まえALISは、現在の日本における暗号資産およびセキュリティトークンに関する法改正の議論から推察するに、今まで以上に企業体力が必要になると考えているという。

論点は、仮想通貨ウォレットなどのカストディサービスにある。仮想通貨交換業およびホットウォレットで管理する場合は、利用者の預かり資産と同種・同量の暗号資産の準備が必要となるという点があるためだ。

ウォレット提供事業者でありユーザの秘密鍵を預かるケースにおいては、利用者保護の観点から、資金決済法上のルールに則った運営が必要となるということだが、金融庁認定の規制団体である「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」でも、第三種会員登録としてブロックチェーンやウォレット関連企業なども対象となる見込みだ。

自主規制団体に対する負担コスト

また、今後交換業への登録申請を行う事業者は、JVCEAの加入と、入会金や年会費の負担が義務化されるという点にも注意が必要だ。

出典:JVCEA

ALISは、JVCEAについて、入会費だけで200万円、年会費や弁護士への依頼、要求される体制構築の費用も含めると、総額で数千万円の費用が必要となると指摘。

4月15日にマネーフォワードが仮想通貨事業への参入を断念することを明らかにした件など、昨今有力な事業者の相次ぐ撤退のニュース等からもわかるとおり、規制を含む界隈の状況は厳しい‌との見方を示した。

国内取引所への新規上場の可能性

国内の暗号資産取引所への上場は、ALISにとって必ず実現させたいことの一つ。そのために、企業としてのキャッシュフロー健全性が求められる。

この点についてALISは、1度もセキュリティ上の問題を起こさず、プロダクション環境で‌、1年以上のブロックチェーンを含むシステムの運用実績があることに優位性があると強調している。

国内では、2018年1月31日に最大手取引所のbitFlyerに上場したLISK以来、新規上場が実現しておらず、取り扱い種類の豊富な海外大手取引所に投資家の資金が流出している節がある。

一方で、ICOに関して、金融庁による最終可否判断のほか、自主規制団体JVCEAでも12項目に及ぶ「独自の審査ガイドライン」を設けることで、二重のチェック機能が働く仕組みとなっており、新通貨の上場に向けた準備も着々と整いつつある。

ALISの今後の方針に関する詳細はこちらからどうぞ