- 英IBD最大手「TP ICAP」がビットコイン先物の提供開始へ
- イギリスに拠点を置く世界最大手のインターブローカーディーラー「TP ICAP」はCMEが提供するビットコイン先物の提供開始を発表。今後機関投資家の更なる参入と提供プレイヤーの増加が期待される。
英インターブローカーディーラーTP ICAP、ビットコイン先物商品の提供開始を発表
米国メディアのブルームバーグは日本時間17日、英国に拠点を置くインターディーラーブローカー(IDB)のTP ICAPがビットコインのデリバティブの販売を開始することを報じた。
インターディーラーブローカー(IDB)とは
金融商品の取引は証券取引所等を介して取引される「上場物」と専門の取引業者を介して取引される「店頭物」に分けられるうちの、後者のカテゴリを扱う金融商品の仲介専門業者のこと。
TP ICAPは世界最大手のIDBで、今後シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が提供するビットコイン先物の売買が同仲介業者を通じて可能になる。現在、過去に同じくビットコイン先物を提供していたシカゴ・オプション取引所(CBOE)は今後継続して先物を提供する計画を示しておらず、事実上CMEがBTC先物を提供する唯一の取引所だ。
同社は更に今後、新たに立ち上げる事業としてノン・デリバラブル・フォアワード(NDF)の提供や、アジアや米国への事業展開も視野に入れている。
ノン・デリバラブル・フォアワード(NDF)とは
金融機関との相対で行われる為替先渡取引の一つで、スポットレートと為替予約レートの差額をその取引通貨ではなく、ドルなどの主要通貨で差額決済する取引のこと。為替市場が未成熟で流動性に欠ける場合や、当局の規制等で現物が調達困難な場合に、為替ヘッジする目的で利用される。
デジタルアセットマーケッツの共同代表を務めるダンカン・トレンホルム氏は同誌のインタビューに対して次のように述べた。
あらゆる機関は現在学習段階にある。…この1、2年でより多くのプロジェクトがマーケットに参入してくることを期待している。
今回同社によって提供されるサービスにおいて、デジタルアセットの購入を希望する投資家はKYC(本人確認)及び資金洗浄(マネーロンダリング)チェックを受ける必要がある。必ずしも金融市場的観点で健全とは言えない仮想通貨市場において、直接その市場に参入することを避け、CMEによって合法的かつオープンに運営されている取引所を利用する決断に至ったと報じている。
同事業の共同運営者の一人であるサイモン・フォスター氏は「成長マーケットにおいてその黎明期に投資を行うことは重要であると信じている」と述べ、今後この領域に注視していきたいとの考えを明らかにした。
CMEのビットコイン先物取引は5月に過去最高の月間出来高が約1.3兆円に達したことが明らかとなっていた。また今年4月時点ですでに仮想通貨調査企業のDiar社のレポートの中で、米機関投資家向けのCMEのビットコイン先物商品比率が4ヶ月連続で拡大していることを発表していた。
先週末にかけてビットコイン価格は100万円を突破したこともあり、今後金融商品のマーケットが整備され、多様な仮想通貨デリバティブが提供されていくとともに、機関投資家の参入が進む可能性は高いだろう。