- 仮想通貨XRPの売り圧力か
- XRP価格の上値を重くしている原因について、仮想通貨データ分析企業2社が分析。リップル社および創業者らによる売り圧力や、通貨の流通率について調査を行なった。
仮想通貨XRPの売り圧力か
リップル社(Ripple Labs)が保有する大量のXRPが、相場の売り圧になるか否かの懸念は、市場でも定期的に取り沙汰される。
まず、発行された1000億XRPにおいて、「OpenCoin」のクリエーター・創業者Chris Larsen氏やJed McCaleb氏などの個人に計20%、そして会社(2012年時OpenCoin)へのギフトとして計80%のXRPが割り充てられた。
市場の売り圧になり得るとして懸念されるのは、リップル社が四半期ごとに暗号式エスクローから解除されるXRPを多く販売するほか、創業者らも定期的にXRPを売却することにあるとされる。
リップル社のQ2販売レポートが近づくにつれ、XRPの価格向上を妨げると言われる事象について、仮想通貨データ分析企業MessariのリサーチャーFlorent Moulin氏は詳しく解説を行なっている。
Three months ago I wrote a deep dive on $XRP circulating supply that was only sent to @MessariCrypto subscribers. As the Q2 2019 Transparency Report is due next week, I am happy to release the full study publicly and discuss some estimations for Q2 Sales. https://t.co/m3VVmuwEm5 pic.twitter.com/pmP1iQaKwv
— Florent Moulin (@fmoulin7) July 17, 2019
データで見るXRPの売り圧力
まずMoulin氏は、「リップル社のQ2(4〜7月)のXRP売り上げと供給率の増加が2018年に見られた過去最高額に次ぐものになるかもしれない。」と推算する。
左の図が示すように、リップル社による売却数が5月中旬より大幅に増加し、Q2では25%の実際供給率の増幅が算出されている。
黄色で表示されているMcCaleb氏による売却も顕著に増えているという。以前より談合によってXRPの売却キャップを定められたMcCaleb氏は5ヵ月間ほど売却を停止していたが、6月よりそれを再開したとのことだ。
さらに、Larsen氏による売りも右肩上がりの比率で増加。Messariの計算では、Q2における創業者らの売却量は、「4億XRP」に及び、現在の相場で換算すれば、138億円に相当する。
なお、リップル社や創業者らとして判別できるウォレットからは、計18億以上のXRPがQ2に転送されたという。
右側のチャートでは、これまで四半期セールのプログラムセール(取引所などでの売り)総合データで見れば、Messariの「オンチェーン」計算では、今年のQ1よりも30&ほど高で、2018年Q1の最高額に迫るような状況になると予想していることだ。
なお、Moulin氏の調査と分析によると、「リップル社からのみならず、Larsen氏からも大きな売り圧力をかけている。」という。
このデータを見ると、昨年のQ4では、Larsen氏およびその財団のウォレットからのXRP放出はおよそ21億XRPだったが、今年のQ1には23.7億にのぼってきた。
リップル社提供のデータに相違も?
Moulin氏は、このような大きな「供給率」に関して、特に2018年10月〜2019年3月の期間で見ると、リップル社のAPIによるデータと、実際の流通量を踏まえた「オンチェーン」によるデータには相違がある模様だ。
- リップル社の報告:4.5%
- 実際数値:11.6%
先月、リップル社は「プログラムセールの販売数は20bpsから10bpsまで落とす」、Q2によるXRPの販売数が前期より減少していることをあらかじめ発表したが、実際、ベンチーマークサイトCoinMarketCapのデータによれば、XRPの売却数がQ1より3倍も増加していると判明した。(*図一参照)
bpsとは、Basis Pointsの略で、1万分の1の値を「1.0」とする単位である。(例:1bps=0.01%) よって、10bpsは0.1%に相当する数値となる。
結論としてMoulin氏は、創業者による売り圧力と、リップル社の保有数が総じてXRPの価格不調に繋がっていると指摘している。
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2つ目の報告書、XRP保有者とリップル社の利益の違い
(上述)仮想通貨分析企業Crypto.IQも、XRPの価格不調が主にXRPの売り圧力にあると指摘している。
最新のアナリストレポートは、XRPがBTC建てで2018年年始以来すでに88%の価格低下を記録している要因の一つに、XRPの供給が集中していることも挙げられると提起している。
2013年8月にCMCに上場したXRPの市場流通量が78億で、現在CMCのデータでは流通量が428.3億まで増えてきている。
このような流通量の増加に伴い、リップル社は2016年Q4に初めて売り上げ報告書を公開した時には、XRPによる販売売り上げが460万ドルだったが、2017年が1.6億、2018年の年度売り上げが5.3億ドルほどにのぼったという。
なおCrypto.IQは、2018年にはアルトコインバブルが弾けた上に、リップル社のXRP売却も加わり、2018年において、「3.81ドルから0.30ドルまで下落した理由」 としている。
さらに、リップル社の2018年Q3売り上げ報告書で、リップル社はXRPの売り上げがXRPの総取引高の1%しか到達していない主張に対して、Crypto.IQは、「当時のXRPの日割り出来高が主要取引所において、1000万ドル〜1億ドルのレンジであり、特にBitfinexでは1000万ドル程度であったため、リップル社関連の大きな売り板は相場を崩すに十分だ。」と指摘した。