バイナンス研究レポート:ビットコイン組み入れはリスク・リターン向上に非常に有益

バイナンス最新研究レポート:ビットコインは欠かせない代替資産
仮想通貨取引所最大手バイナンスは、ポートフォリオ管理研究レポートにて、ビットコインを組み入れることが、マルチアセット戦略におけるリスク・リターンの向上に非常に有益であることを投資シミュレーションを通して証明した。

バイナンスが研究レポート|ビットコインは欠かせない代替資産

仮想通貨取引所最大手バイナンスは、ポートフォリオ管理研究レポートの第一弾として、ビットコインをポートフォリオに組み入れることが、マルチアセット戦略におけるリスク・リターンの向上に非常に有益であることを数々の投資シミュレーションを通して証明した。

投資面から見たビットコインの特性:変動は激しいが他の資産クラスとの相関性が低い

10年というビットコインの歴史は、暴騰と暴落を繰り返してきた歴史でもあり、そのボラティリティは投資対象として魅力であると同時に大きなリスクでもある。

バイナンスはビットコインの高い価格変動の要因として次の三つを挙げている。

  1. 「新技術」としてのブロックチェーンと共に資産クラスとして誕生したばかりであること
  2. 流動性の低さと信頼できる取引所の欠如
  3. 投資家が頻繁にポジションを入れ替える個人投資家の割合が非常に高いこと

しかし、この研究レポートでは、その変動率は、最初のブロック=ジェネシスブロックが生成された時から、減少してきていると指摘している。

今後、Fidelityに代表されるカストディサービスの充実、ETF、新しい投資信託の創設などの、機関投資家向け製品の提供に見られるように、暗号資産(仮想通貨)業界が成熟するにつれて、ビットコインのボラティリティはさらに低下する可能性があると主張した。

比較した対象資産:S&P 500、Russell 2000、NASDAQ、Bloomberg Barclays Global Aggregate、石油、金、銀、Bloomberg Commodity Index Total Return、トピックス、Hang Seng 、EuroStoxx 50、FTSE 100

さらに現在のビットコイン市場は、スポットおよびデリバティブ取引が活発で取引量が大きく、かつ取引場所間の効率的な価格機能によりスプレッドが小さいことが特徴的で、非常に流動的な資産であることから、大口投資家にとっても投資しやすくなっているという。

さらに機関投資家向けに特化したカストディサービス提供により、ビットコインは分散化されたポートフォリオに組み込むべき不可欠な代替資産となっていると結論づけた。

ビットコインを含むマルチアセット・ポートフォリオ管理シミュレーション

バイナンスは、この投資シミュレーションに、投資運用会社最大手2社のトップETF商品を選んで非暗号資産のマルチアセットの割り当てを代用するものとした。

▽BlackRock社:iShares Morningstar Multi-Asset Income ETF

▽Vanguard Asset Management社:VPGDX Managed Payout Fund)

 

そしてビットコインは時間ベースと動的境界値ベースという二つのリバランス方法により、ポートフォリオに組み込まれる。資産は、ETFの購入とBTCの売却、またETFの売却とBTCの購入により調整される。

対象となる試験期間は、2015年12月31日から2019年6月30日までの3年6ヶ月で、ビットコイン割り当てが1%と5%のケースでシミュレートされたが、ビットコインを組み入れた全てのポートフォリオで、ビットコインを含まないものより優れたリターンを生み出している。 

時間ベースのリバランスの場合、1%を割り当てた場合では、3年半の実験期間で5~6%の追加収益、年間収益では約1.5%の追加の年間収益を生み出したことになる。

ビットコインの割り当てが5%の場合は、リターンは、さらに59.3%と57.2%となり、ビットコインを組み入れない場合のリターン(27.86%と26.03%)を大幅に上回った。

Binance Research,Bloomberg

同じく、動的境界値によるリバランスの手法でも、ビットコインを組み入れた全てのポートフォリオで、ビットコイン無しの場合よりリターンが向上した。

Binance Research,Bloomberg

ただし、バイナンスは、スリッページや税金費用、また比較的短いビットコインの価格歴などの要素が、この分析の正確性を制限することに注意を喚起している。

結論

ビットコインは、株式、債券、コモディティなどの他の伝統的な資産クラス全てと相関関係がないため、独立した資産クラスの典型といえる。

また、LedgerXやBakktのビットコイン先物契約、米SECの承認を待つビットコインETFやFidelity Digital Assetsによる専用カストディソリューションなどは、仮想通貨投資に不安を抱いている投資家の懸念を軽減していく一助となり、その結果、資産運用会社がビットコインを単なるリスク資産ではなく、ポートフォリオ構築に不可欠な資産とみなす可能性も高まると、レポートは結んでいる。

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