既存金融市場の混乱を横目に暗号資産市場は様子見か

BTCは125万円台維持できずも底堅い

先週のBTC/JPY相場は、117万円周辺から上値を模索する展開で始まり、6日には一時130.9万円の週高値を記録した。先週も触れた通り、週前半にかけての相場上昇の要因は、人民元安による中国勢の資金逃避を想起した投機筋の先行買いであったと分析している。昨今では、「デジタルゴールド」とも称されるBTCだが、株式市場も混乱するなか、6日以降は上値を重くし125万円を挟み込む形で保ち合い相場となった。さらに10日には、相場は一段安となり3連休中は概ね120万円周辺で推移した。こうした値動きを見る限り、「市場への逃避資金の流入」は注目され見込まれてはいるが、実態は伴っていないと指摘される。投機筋によるフライングはあったが、全体的には、既存金融市場の混乱がいかに影響するか様子を見る格好であったと言えよう。

週明けのNYダウは一時400ドル安を記録するなど、既存金融市場では今週も混乱が尾を引く状況となっているが、BTC相場の反応は薄く、予て指摘の通り、中期的な流れが不透明ななか、BTCが逃避先として選ばれる可能性は低いと言えよう。

一方、相場は足元、7月17日安値(98.4万円)と28日安値(99.8万円)を起点とするダブルボトムのネックライン(119.9万円)周辺まで押しているが、同水準での底堅さも確認される(第1図)。レジスタンス(サポート)をブレイクした後に相場が同水準まで押す(戻す)という現象はよくあることで、先週は出来高も減少傾向にあり、足元の相場は調整局面であると考えられる。よって、今週も「底固めから反発」をメインシナリオとして想定するが、相場がネックライン(119.9万円)を割り込めば、下降チャネル下辺(第1図内、下の黄色線)を目指す可能性も出てくるため、突っ込み買いには十分に警戒したい。

第1図:BTC対円チャート(4時間足) 出所:bitbank.ccより作成

第2図:主要暗号資産銘柄対ドル週次騰落率(8月5日〜11日)
ステーブルコインを除く時価総額上位20銘柄
出所:coinmarketcap.comより作成

第3図:主要アルトコイン対BTC週次騰落率(8月5日〜11日)
ステーブルコインを除く時価総額上位20銘柄
出所:investing.comより作成

テクニカル分析

BTC対円相場は7日、30日、90日移動平均線がそれぞれゴールデンクロスを維持。相場は7日線を割り込んでいるが、30日線は下向きから横向きに変わりつつある。ボリンジャーバンドでは、10日に相場が1σを割り込み上昇バンドウォークが終了した。バンド幅の拡大も鈍化してきており、一連の上昇に一服感が出始めてもおかしくないころだろう。一目均衡表では、均衡表と遅行スパンが好転しており、2つの早期買いシグナルが点灯している。

第4図:BTC対円チャート(日足) 出所:bitbank.ccより作成

週足では、相場は7週線の上抜けに成功しているが、同線の向きは横向きに転じており、短期的なモメンタムの後退が指摘される。ボリンジャーバンドでは、バンド上辺が折り返し始めており、一服感が出始めている。一目均衡表では、足元、相場は転換線を割り込んでいるが、強い買いシグナルとなる三役好転を維持している。

第5図:BTC対円チャート(週足) 出所:bitbank.ccより作成

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