今すぐ使える「4つのBTC投資戦略」 仮想通貨ファンドが機関投資家向けレポートで公開

ビットコインのパフォーマンスを凌ぐ4つの投資戦略
仮想通貨ファンド「Adamant Capital」の設立者が、機関投資家に向けた4つのビットコイン(BTC)投資戦略を解説。アルトコインに関する見解や有効な指標に加え、避けるべき戦略なども説明した。

ビットコインのパフォーマンスを凌ぐ4つの投資戦略

ビットコインのパフォーマンスを打ち負かすことを意味する”ビットコイン・アルファ”を掲げる仮想通貨ファンド「Adamant Capital」の共同設立者Michiel Lescrauwaet氏が、機関投資家に向けたビットコイン投資戦略を発表した。

個人投資家向けの投資戦略を紹介するものは多くあったが、巨額マネーを流用する機関投資家向けのビットコイン投資戦略が発表されたのは非常に珍しい事例といえるだろう。

同ファンドは、ビットコイン投資における業界の変化のほか、投資種別ごとのリスクリワードの調査、また投資戦略を選ぶ上でのフローチャートなどを掲載も行なった。

ビットコイン投資戦略の業界推移

投資種別ごとのリスクリワード

投資戦略フォローチャート

ビットコイン4つの投資戦略

機関投資家において、効果的なビットコイン投資戦略は、今後の市場の成熟度に依存することを前置きした上で、Lescrauwaet氏は次の4つの戦略を提示した

1.避けるべきは ビットコイン・レンディング

投資戦略の中で、避けるべき戦略を第一戦略にあげたLescrauwaet氏。ビットコインを貸し出すことで利回り収入を得る手法「レンディングサービス」の利用は避けるべき投資方法であると説明した。

理由は、第三者機関に預ける事で発生するカウンターパーティーリスクと、特に米国における仮想通貨関連税だ。現在のレンディング企業の多くは、規制下かつ伝統的な金融企業が参入している領域ではなく、破綻などのリスクは伴う可能性があると見ている。

2.ビットコインを担保にして投資資金を運用

ビットコインをカストディに預け入れた上で、担保にすることで、ドルを借りることができるが、借り入れしたドルをビットコインに再投資することで、より効率的な投資資金の調達をできると報告した。

その資金を元手に、オプションや先物、その他の戦略を駆使することで、法定通貨の金利を上回ることも十分に可能であると説明する。

これは投資ファンドAdamantでもよく利用される手法だという。その理由として、比較的ローリスクでハイリターンな点があり、1日単位でリターン調整を行えるなど柔軟性にも富んでいる優位性があるとした。

3. ビットコインのサイクルを計る方法を理解する

ビットコインの市場では、強気と弱気、双方のマーケットで投資利益をコンスタントに出すことは簡単ではないとLescrauwaet氏は説明。他の誰もが持っていないデータを持つことこそが、現市場における優位性に繋がっていると、独特のマーケットを取り巻く情報格差を狙った投資方法をあげた。

Adamantが推奨する指標の1つは、ビットコインにおける「相対的未実現損益(Bitcoin Relative Unrealized Profit/Loss)」だ。これは、投資家がビットコイン市場で保有する評価損益を指すものである。

Bitcoin Relative Unrealized Profit/Lossは、過去にも調査レポートで紹介されるなど、市場の過熱感から現在の市場評価を行う方法として注目を集めており、実際にバブル時と大底のタイミングを見極める指標として機能するものだ。

過去にAdamant Capitalが公開したレポートを元に説明すると、Bitcoin Relative Unrealized Profit/Lossは、ビットコインのアウトプット(アクティブ)が出た数量と、市場価格を掛け合わせたて算出される指標で、市場価格が実際のビットコイントランザクションと乖離して加熱していないかを示す指標となる。

下図でもわかるように、単純に市場規模(グレー)と同指標(赤)が連動しているわけではなく、市場規模の下落以上にアウトプット量が減少したタイミングで急下落し、市場価格の上昇がアウトプット量を超えて急上昇した場合は、同指標も大きく上昇していることがわかる。

この指標を、市場の投資家感情でトレースした画像が以下の通りだ。

赤になっている部分が売られ過ぎの水準であり、一方緑の「Greed(強欲)」の水準に達している部分は過熱気味の市場を示している。

Adamantのデータによると、同指標が80%を超えるタイミングが危険水準で、市場は下落する傾向にあるという。なお、Lescrauwaet氏によれば、そのデータが示す現在のポイントはは40%であり、今後も伸びていく余地はあると見ている。

4.”高ベータ値”のアルトコインへの投資

いわゆる「高いベータ値」を記録するアルトコインへの投資は、リスクの高さがある一方、高リターンを狙える投資戦略である説明した。「ベータ値」とは、市場全体のボラティリティに対して各個別銘柄における価格の感応度を示した数値だ。

Lescrauwaet氏によると、この戦略を高いリターンを見込むこともできるとするが、それが成功するかは投資家のスキルセットに依る部分が大きいという。なお、現在の上位3通貨のベータ値は、それぞれBTCが0.97、ETHが1.16、XRPが0.97となっている。

今後の市場には強気な見解示す

なお、ファンドの選び方として重要な指標にあげたベンチマークの選定では、S&P500などの従来のベンチマークの適用は、「異種プロジェクトの主観的な組み合わせ」になってしまうことから、仮想通貨のポートフォリオ構成には適していないと主張した。92%のICOがビットコインのパフォーマンスに劣る現実を鑑みると、ビットコイン自体の価格をベンチマークまたはインデックスとして使用するファンドが一つのポイントになるとしている。

なお、今の仮想通貨市場に対して、非常に強気な見解を示しており、共同設立者のTuur Demeester氏は、ベア相場は終わりを迎えたとしつつも、「ICOバブルに次ぐ強気相場」になると主張している。また、今日のビットコインを2003年のAmazon株と比較して、「絶好の買い(Screaming Buy)」であるとも発言した。

adamantcapitalfund.com

CoinPostの関連記事

米最大手投資グループBlackstone CEO『ビットコイン投資には関心が持てない』
米大手投資グループBlackstone GroupのCEOは、米経済誌Fortuneのインタビューで「ビットコイン投資に懐疑的な理由」を明かした。一方、ブロックチェーン関連企業への投資には関心を寄せている。
英ミレニアル世代、富裕層の「仮想通貨投資」割合は一般層の約10倍に
英大手法律事務所の富裕層調査にて、ミレニアル世代のうち投資金330万円以上のケースでは約20%が仮想通貨投資を行い、投資金1000万円以上だと仮想通貨投資比率は一般層の約10倍水準に達していることが分かった。