CNBCは強気に転換
仮想通貨・ビットコインの上昇トレンドを受け、米CNBCの経済番組も再びビットコイン市場を番組のトピックとして採用した。市場が低迷していた2019年はほとんど取り上げられなかったことから、市場の関心を見据えた採用であることが予想される。
CNBCの番組「fast money」では、5名のアナリストが仮想通貨市場上昇の要因について各自見解を示した。
要旨は以下の通り。
- 真のビットコインガチホ勢だけが残っていた(下落相場を耐え抜いた)
- 市場には機関投資家の資金が流入している可能性
- ビットコインの値動きはゴールドに類似
- コロナウイルスの影響
- 中央銀行金利政策
指摘内容では、利益を得たのは仮想通貨市場における「真のガチホ勢」が中心で、にわかなトレーダーや投資家は2018年から19年の弱気相場で離れている点で論じられたほか、巨額資産を有する機関投資家も安値圏と見ると市場参入、需要が一段と上がり、今の地合いの良さ(出来高好調)に繋がっているとの見解が見られた。
直近の現物とデリバティブ(CMEやBakktも)の出来高から、地合いが好転していることは見て取れるが、機関投資家参入の理由として注目されるのが、世界的な超低金利環境と仮想通貨の関係性だという。
市中金利を低下させて企業の投資活動を喚起し景気回復を図る目的で中央銀行が行う、政策金利をゼロ%近辺のきわめて低い水準に保つ低金利政策など、金利を利用した投資機会が減少している中で、ヘッジファンドなどを中心に高リターンを得られる可能性があり、ヘッジ手段なども整って来たビットコイン投資への見直しが行われている。
年金基金や資産運用会社などの機関投資家にとって、不安定性やセキュリティの問題、不透明な市場環境などが市場参入の懸念材料に挙がっていたが、状況が変わりつつある点を指摘する声は多方から聞こえつつある。
一方、「デジタルゴールド」と言われるビットコインと金(ゴールド)の相関性が高まっていることに注目する声もあがった。今年に入り、中東情勢の悪化やコロナウイルスの拡散などの不安定な要素を受け、国際株式市場から、ドローダウンを嫌気する投資家の資金がオルタナティブ資産に向いているとの見方だ。投資家らは一部の資金を「安全資産」となるゴールドなどに資金をシフトしたが、ビットコインへの新規資金流入のポイントになったと指摘した。
前述したように、弱気相場時では「fast money」で仮想通貨のトピックを取り上げることはほとんどなかった。
一方、業界内からはCNBCの番組放送が「逆指標」になるとの指摘がみられた。これは、市場高騰によって一般の関心が最も高まったタイミングで報道される番組の放送時が市場の天井に当たることが多く見られたためだ。ある意味で過熱感を判断する一つの指標になるかもしれない。