韓国政府高官、暗号通貨に対する規制の見直しを示唆

韓国政府高官が既存の暗号通貨に対する規制の見直しを検討していると地元メディアのZDNet Koreaが報じた。今週韓国で開かれたカンファレンスDeconomyには複数の国会議員が出席し、暗号通貨の成長と発展のために規制を見直す時期に来ているとの発言があった。

Deconomyでは、暗号通貨やブロックチェーン技術に関するプレゼンテーションや議論が行われた。暗号通貨業界からは、Mastering Bitcoin著者のAndreas M. Antonopoulos氏、イーサリアム考案者のVitalik Buterin氏、Binance CEOのCZ(Changpeng Zhao)氏などがステージに登壇した。

韓国のByung Bong Min議員はステージ上で以下のように語った。

「政府はこの一年間暗号通貨業界を厳しく規制してきた。現在公共の安全は確保されており、規制方針を見直す時期にきていると思う。政府はこれから暗号通貨用のサンドボックス制度を設けるだろう」

また、Song Hee-kyung議員は政府に対しブロックチェーン業界の自立的な成長を促すべきだと訴えている。

「どんな革新的な技術も適切な市場がなければ使い物にならないだろう。ブロックチェーンが大きなトレンドに入る黄金期を逃してはならない」

韓国ではキムチプレミアムと呼ばれるほど他国より高値でビットコインが取引されることがあり、暗号通貨取引が非常に盛んに行われている。一方で取引所がハッキングされ暗号通貨が流出するなどの事件も多発している。

韓国取引所のBithumbは先月、暗号通貨の不正流出が発生したことを報告しており被害額は2000万ドルにのぼる。またBithumbの調査によると、不正流出は内部の犯行によるものだと報告された。

暗号通貨業界の歴史は浅く、世界共通の規制方針なども存在しない。暗号通貨取引所がハッキングされ、巨額の資金が流出するといった事件が度々発生しているため、規制強化を求める声も多い。一方、確実にセキュリティを高めることができる規制などは存在せず、効果のないルールだけを作っても事業者側の体力を消耗させるだけだ。

ハッキングは内部の犯行の可能性などを考慮すると、100%の安全性を確保することは不可能だ。一方、何度もハッキングを受けるような取引所はユーザーが利用しなくなり淘汰されるため、事業者側には自発的にセキュリティを高めるインセンティブが存在する。Song Hee-kyung議員が訴えるように新しい業界が発展するには、自立性を持たせ自然な市場競争を促すことも非常に重要だろう。


ZDNet Korea