欧州委員会、防衛軍事部門でブロックチェーンを活用へ

ブロックチェーンを防衛に活用

欧州委員会防衛プログラムが、ブロックチェーンソリューションに助成金を提供することが分かった。

欧州委員会(EC)は、ブロックチェーンの開発者や専門家に向けて、防衛用に民間技術を適応させるソリューションの助成金プロジェクトを募集する。

3月24日、ECは中小企業に呼びかけ、これまでは防衛に適用されていない技術や概念を用いた、新しい技術ソリューションを求めた。

ECはプログラムへの申請方法をガイドするための概要を提供、ブロックチェーン助成金に採用されると、防衛製品開発とイノベーション継続のために、ECが助成金のために用意する2億5400万ユーロ(約304憶円)の中から開発資金を交付される。

プロジェクトには、防衛のために技術を応用し、コスト効率がよく軍事利用で効果を発揮するような製品を生み出すことが期待されている。

デジタルツインとブロックチェーンの組み合わせ

より具体的には、ECは次のような提案を募集すると説明した。

ブロックチェーンの堅牢性を利用し、リアルタイムクラウドとオンプレミスのデジタルツインに基づくもの。スペアパーツのチェーンや、メンテナンス、エネルギー消耗品など、現在のすべての物流のニーズに対応できるもの。

ここで触れられている「デジタルツイン」とは、マシン、インフラストラクチャの一部、人間など、物理的なエンティティ、資産、またはプロセスの仮想表現またはミラーのこと。

ブロックチェーンを用いることで、デジタルツインの完全性を強化することができる。例えば、製品の出所、状態、所有権を検証する、改ざん防止暗号タグを使用して情報を保証できる。

世界四大会計事務所のデロイトも2018年のレポートで、デジタルツインとブロックチェーンを組み合わせがもたらすメリットについて報告。モノのインターネットなどの分野で、例えば本番環境で連続的にシステムの状態を予測監視する「予知保全」に活用できるという。

今回の募集にみられるように、ECも、サプライチェーン、機器メンテナンス、エネルギーなどの防衛において重要な分野で、ブロックチェーンをデジタルツインと組み合わせる可能性に注目している。

プログラムへの提出は4月15日から受け付け開始、COVID-19パンデミックの進展に応じるものの、暫定的な締切は2020年12月1日だ。