- 「MUFGコイン」を2019年内に実利用化へ
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、開発を進めているデジタル通貨「coin(コイン)=MUFGコイン」を2019年後半に実装する方針であることがわかった。銀行初の仮想通貨技術の応用モデルとなるか注目が集まる。
「MUFGコイン」を2019年内に実利用化
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、開発を進めるデジタル通貨「coin(コイン)=MUFGコイン」を2019年後半に実装する方針であることがわかった。4月1日付で新たな社長に就任した三毛兼承氏が朝日新聞への取材に対して明かした。
デジタル通貨「coin」は、三菱UFJが実用化に向けて開発を進めてきたデジタル通貨で、仮想通貨の根幹技術でもあるブロックチェーンを利用し、1coin=1円の価値を持つことが特徴。発表当初は「MUFGコイン」の名で公開されたが、2018年10月にMUFGの冠を取る形で「coin」に名称の変更を行なっている。みずほが手がけるJコインやSBIが手がけるSコインなど、銀行が手がける通貨が乱立するなかで、他業種との協業を踏まえた幅広い利用が狙いだと考えられている。
MUFGコインの構想が明らかになったのは2016年にさかのぼる。その当時仮想通貨は一般認知度も低い状況にあったが、金融取引などにかかる費用や送金や振り込み時の手数料を削減するなどを見込んだ「行内通貨」としての構想が、銀行として独自仮想通貨の発行を手がけるのは初めての事例として報じられた。
その後、行内向けの実証実験が行われるなど、実用化に向けて準備を進めてきた。
MUFGコインの利用用途として挙げられているのは、主に5つでビットコインなどの特徴でもあるP2P取引だけでなく、家電やモノがインターネットに接続されるIoTを前提とした電子決済や、キャッシュレス化への対応も行う。また、利用者はお会計時の割り勘ができるようになる他、加盟店への特典も決済時に付与する仕組みなどが考えられているという。
またブロックチェーンを利用することで、個人の特定をせずにビッグデータの収集やマーケティングへの応用を行うほか、小売店などの事業者が社名を冠した通貨として利用することが可能になることが、時事通信の報道から明らかになった。これらは、加盟店に利用を促す大きな利点となり得るだろう。