- QuadrigaCX、正式破産へ
- 経営者死亡で仮想通貨資産へのアクセスが不可能となった仮想通貨取引所QuadrigaCXが正式に破産手続きに移る。監査法人EYは同取引所の受託者として企業資産の売却を行なう。
QuadrigaCX、正式に破産表明へ
秘密鍵を紛失したことで290億円相当の被害が報告されていたカナダ仮想通貨取引所「QuadrigaCX」が正式に破産に至ることがわかった。ノバスコシア州での破産申請の手続きが受理されたことを現地メディアが報じた。
この破産手続きの承認により、2億6000万ドル(約290億円)に相当する現金および仮想通貨(暗号資産)の被害を受けた11万5千のユーザーを抱えている同取引所の申請プロセスは始まり、来週までに正式な破産申請届けを提出するとされている。
なお、裁判所指定の監査法人またQuadrigaCXの受託者として調査を行っていた世界4大監査事務所の一社であるEYがユーザーへの弁償金としてQuadrigaCX社の企業資産の売却などを実施していく予定だ。
なお、裁判所は、亡くなった同取引所の創設者Gerald Cotten氏の不動産と同氏の妻であるJennifer Robertson氏の全財産に対する「資産凍結命令」を下している。
QuadrigaCX事案の背景
事の発端は、カナダ有数メガバンクCIBC(Canadian Imperial Bank of Commerce)が2018年10月にQuadrigaCXが保有していた5つの銀行口座で保管されていた約2800万ドル(約30億円)の資産を凍結。これを受け、取引所の出金を希望したユーザーは引き出しに遅延が解消しない状態が続いていた。
取引所側はこの件について裁判を起こし勝訴したものの、出金の遅延状況に改善は見られなかった。
そのような状況の中で起きたのが秘密鍵紛失事件だ。QuadrigaCX創設者の妻Jennifer Robertson氏は2019年の1月、夫のGerald Cotten氏がインド旅行中で死亡したことで仮想通貨を管理する秘密鍵が紛失してしまったとの声明を発表。実質的に顧客資産である仮想通貨が全額消失したことで出口詐欺の疑惑が向けられた。なお直後に同取引所は運営の停止を発表している。
なお、当時は仮想通貨の資金だけでなく、第三者側の決済プロバイダーが管理する約5300万ドル(約59億円)にもアクセス不可能になったとされていたが、監査法人EYは前から同取引所と協力の元、一部の資金を復元に成功している。
未解明の詳細と今後の流れ
同取引所の決済プロバイダーは引き続きEYと協力して、預けられている顧客資産の返上に努めていく意向を示している。
QuadrigaCXが現在所有する仮想通貨を含む資産の詳細や、債権者数、EYによる取引所へのアクセスなどは未だに未知数な部分は多い。EY社からの次期調査進捗報告書の提出は4月18日を予定する。