米連邦準備銀行、ブロックチェーン監視ノードの設計開始へ|イーサリアムでの概念実証も明らかに

米連邦準備銀行、ブロックチェーン監視ノードの設計開始へ|イーサリアムでの概念実証も明らかに
米連邦準備銀行がブロックチェーン・システムの試験開始へ
米ボストン連邦準備銀行が、今夏にブロックチェーン・プラットフォームの試験に乗り出す計画が判明。これまで不明瞭であったプロジェクトの詳細が明らかに。

米連邦準備銀行がブロックチェーン・システムの試験開始へ

アメリカ合衆国の連邦準備制度のひとつであるボストン連邦準備銀行が、今夏にブロックチェーン・プラットフォームの試験に乗り出すことが、米大手仮想通貨メディアCoinDeskの報道により明らかとなった。

ボストン連邦準備銀行は早い時期からブロックチェーン技術に興味を示しており、2016年頃からブロックチェーン・システムの開発に本格的に乗り出していた。

さらに同行が2019年2月に公表したホワイトペーパー内では、イーサリアムやHyperledger Fabricに関する概念実証について記述されている。

ただ、これまで同行のブロックチェーン・プロジェクトに関する詳細が明らかとなっていなかったが、今回の報道で徐々にその全貌が見えてきた格好となる。

同行が開発を進めるブロックチェーンの特徴に監視ノードが挙げられる。監視ノードはブロックチェーン上で行われる取引を監視する役割を担っており、異なる銀行間での送金や決済の流れをつかむことが可能となる。

同行の上席副責任者Jim Cunha氏は、以下のように語る。

将来的に、それぞれ証券やデリバティブ、キャッシュ、銀行間送金を別々に扱うブロックチェーンがいくつも利用される可能性がある。

そうなれば、それぞれ技術の異なるプラットフォームで行われる全ての取引をどのように監視するのかといった課題が生まれる。

IT部門の責任者Paul Brassil氏も以下のように話している。

我々は大手金融機関や銀行と関わりをもっており、それら全てがブロックチェーン技術の検証を行っている。

彼らと関わり合い、彼らのロードマップを理解すればするほど、我々の方向性が正しいという確信を強める。

ただ、今のところ、このブロックチェーン・システムをリリースすることは考えていないとし、実際にリリースをするためには多くの課題が残るのが実情だ。

Cunha氏によれば、次に監査ノードの設計が必要とし、アクセス権を与えるデータの範囲や、資金移動の情報を管理するために必要な開発の詳細を決めなければならないという。

ブロックチェーン・システムを一から築くボストン連邦準備銀行は着実に開発を進めているものの、いまだ模索段階であることに変わりはなさそうだ。しかし米国の中央銀行がイーサリアムなどのブロックチェーンをテストすること自体には重大な意味があり、今後の進捗状況にも注目だ。