ビットコイン10000ドル上抜け:人気加速でBTCに資金流れる

約1年3ヶ月ぶりの大台乗せの裏に加速するアルトコイン安

先週のBTCの対ドル相場は、9000ドル台に乗せ一時揉み合うも、20日からジリジリと上げ始め、21日に10000ドルの大台に乗せると、翌22日も勢いに乗り一時11246.14ドルの高値を付けた(第1図)。足元では、10000ドル台乗せの達成感からか、10800ドル周辺で揉み合う展開となっている。

先週は、FRB(米連邦準備理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)や、フェイスブック社の独自トークン「Libra(リブラ)」のホワイトペーパー発表があったが、その話題性とは裏腹に、発表直後に相場への大きな影響は確認されなかった。Libraは発表直後より、ネット上からその分散性や技術的な批判、更に複数主要国の金融当局者から懸念が次々と浮上する一方で、暗号資産の知名度を向上させる切っ掛けになると好感する声もあり、市場も如何に反応するべきか明確に示せなかったと指摘される。

対ドルでは、殆どの主要アルトコインも先週はBTCに連れ高となった一方で、対BTCでは全面安を記録し、2週連続でBTC高・アルトコイン安の展開となっている(第2、3図)。こうした状況では、BTCが対ドルで強気相場を形成しやすいということが言えるため、引き続き暗号資産市場内での資金還流には注意したい。このままアルトコイン安が続けばBTC対ドル相場は続伸とする可能性があるが、主要アルトコインが対BTCで反発し始めれば、BTC対ドルは一旦調整に入る可能性もあるだろう。

CME(シカゴ・マーケンタイル取引所)のBTC先物市場では、2週連続でファンド勢のロングが減少傾向にあったが、21日発表のCOTレポートによると、先週火曜日時点ではロングが726枚積み上がり計3055枚となり、ショートは102枚の小幅増加で計3402枚となった。これにより、ネットポジションは前週の-971から-347とネットニュートラルに近づいた。ロングとショートの相対的な勢いを示すCOTインデックスでは、前回50%を割り込み5週ぶりに弱気筋優勢となっていたが、今回は69.15%となり、強気筋優勢を示唆している(第4図)。

【第1図:BTC対ドルチャート(2017年11月24日〜現在)】


出所:coinmarketcapより作成

【第2図:主要暗号資産銘柄対ドル週次騰落率(6月17日〜23日)】

出所:coinmarketcapより作成

【第3図:主要アルトコイン対BTC週次騰落率(6月17日〜23日)】


出所:investing.comより作成

【第4図:米先物ファンド勢ネットポジション(緑棒グラフ、右目盛) 、COTインデックス(ピンク線グラフ、左目盛)チャート(週次)】


出所:CFTCより作成

FATF総会にサプライズなし、G20では規制よりLibra議論されるか

16日から21日にかけて開催されたFATF(金融活動作業部会)の総会では、想定通り勧告15に関する注釈ノートの本採用が決定された。この他、電信送金における送受信者の情報共有に関する勧告16の暗号資産関連事業者への適用が、規制のガイドラインとなる「Guidance for a Risk-Based Approach: Virtual Assets and Virtual Asset Service Providers」に盛り込まれたが、こちらも2月の勧告15に関する注釈ノートの草稿で触れられていたため、サプライズとはならなかった。そもそも、電子データという性質上、勧告16のガイドラインへの追加は理にかなっていると言えよう。

勧告16により具体的にどういった規制が敷かれるかと言うと、加盟国は、暗号資産関連事業者が顧客の暗号資産を送金する際は、送金を行う事業者が、①送金者の氏名、②送金者の口座番号(「取引をプロセスするために必要な番号」とあるため、暗号資産の場合はウォレットのアドレス情報となる)、③送金者の住所、国が定めたIDもしくは顧客番号、④受信者の氏名、⑤受信者の口座番号(ウォレットアドレス)を把握していることを保証する必要が出てくる。つまり、ユーザーが取引所間での送金を行う際は、その取引所の間でこうした情報を共有する必要が出てくるということになる。

FATFは、今回の更新内容が加盟国間で施行されているか来年6月までレビューを行うとしている。その結果次第では、さらなる規制の強化の可能性もあるが、かねて指摘の通り、国際的な市場規制に関する目先の材料は出尽くしていると言えよう。よって、今週28日からは20ヶ国・地域(G20)総裁会議が大阪府で開催されるが、今回暗号資産関係で議論が進むとすれば、市場全体の規制よりフェイスブック社のLibraに焦点が当てられる可能性があるだろう。もしそうなれば、法定通貨を代替するとして各国政府が規制による締め付けに出るか、FRBパウエル議長のように様子見姿勢を示すか注目される。

テクニカル分析

BTCの対ドル相場は、7日、30日、90日、200日移動平均線が全てゴールデンクロスを示現しており、短中長期で強気相場を示唆している。ボリンジャーバンドでは、相場の上昇にバンド幅の拡大が伴っており、バンド上辺が折り返してくるまで上昇しやすいと言えよう。一目均衡表では、強い買いシグナルとなる三役好転を維持している。

【第5図:BTC対ドルチャート(日足)】


出所:coinmarketcapより作成

週足では、7週移動平均線が30、90、200週線でゴールデンクロスを維持。各線とも上向きとなっており、短中長期で上昇相場を示唆している。ボリンジャーバンドでは、相場上昇にバンド幅の拡大が伴っており、バンド上辺が折り返してくるまで相場が上がりやすいと言えよう。一目均衡表では、先週の上昇で相場が抵抗帯(雲)上限(10180.9ドル)を上抜け、強い買いシグナルとなる三役好転を示現している。一方、日足、週足ともRSIは70%を超えているため、短期的な押しには注意したい。

【第6図:BTC対ドルチャート(週足)】


出所:investing.comより作成


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