アジア仮想通貨市場に追い風か、香港金融庁が取引所のライセンスルール発表

香港金融庁の発表

日本の金融庁に相当する香港証券先物委員会(SFC)は、取引所(取引プラットフォームも)やカストディ企業を含む仮想通貨関連事業のライセンスに関するルールを公表した。

ルールでは、有価証券に該当しない仮想通貨と、それに当たるセキュリティトークンの取り扱いによってライセンスの付与制度を定めている。セキュリティトークンに該当するかどうかは、取引所側が個別銘柄において、SFCに相談する必要があると説明している。

特筆すべきは、本ルールを発表する直前、SFCのAlder長官による言及で、「ビットコインや、その他仮想通貨は有価証券に該当しない。SFCの規制対象になるのは、セキュリティトークンと仮想通貨の先物契約のみだ。」と明確にしたことだ。

主なルール要点

1・セキュリティトークンを取り扱う取引所は証券仲介業者と同様なコンプライアンスを遵守する必要があり、SFCは条件を満たしたセキュリティトークンを取り扱う取引所にライセンスを付与する。付与された取引所は「プロ投資家」にのみ、サービスを提供できる。

2・SFCはセキュリティトークンを取り扱わない取引所にライセンスを付与・監督する権限はない。

3・セキュリティトークンの取引を可能にしている取引所のみが、SFCの監督下に置かれる。

4・セキュリティトークンに該当しない仮想通貨のオファーリング(ICOやIEO)は、プロジェクト等に関する情報を強制的に開示させる規制は存在しない。

なお、ライセンスを求めない取引所は、取り扱いのある仮想資産(通貨やトークン等)がセキュリティトークンもしくは仮想通貨先物に該当しないことを自己判断で決める権限を持つという。つまり、セキュリティトークンの取引所ライセンスを申請しなくても、取引所は香港で運営を継続することが許される。

仮想通貨産業にポジティブ

ロイター通信によると、Alder長官は本日のフォーラムで、仮想通貨取引所の規制について、去年の同時期に自身が概要を説明した今後の道筋に基づく、主要な進歩となったと発言した。

今回の動きは、概して仮想通貨産業にとっては好意的な進展だ。発表されたルールでも、SFCは様々な取引所が香港で運営している状況への理解を示した。同国で出来高上位の複数の取引所は、株式市場の「チャイナ・ショック」以来、アジアの拠点として香港で運営を継続している現状がある。

中国情勢通のDovey Wan氏は香港の動きについて、「取引所Huobiはすでに香港証券取引所にバックドア(裏口上場)形式で上場を行なった。新ルールでHuobiは中国全土において、初の合法的取引所になるだろう。」とコメントし、「Huobiは今も中国の運営チームを持っており、中国人顧客を中心にサービスを提供している。」と説明した。

多くのアルトコインを取り扱うHuobiやBinanceなど中華系大手取引所が、香港経由で中国人トレーダーに再び取引サービスを提供できる重要な動きとなり得る。

参考:HKSFC

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