- コインベースが新カストディサービス提供へ
- Coinbaseは、PoSシステム利用のカストディ・ステーキングサービスを開始予定であることを発表。ネットワークでノード担当することで、カストディサービスを提供するという新たな機関投資家向けの事業展開だ。
コインベースが新カストディサービス提供へ
米大手仮想通貨取引所コインベースは、「Delegated Proof of Stake」を利用した、機関投資家向けの「カストディ・ステーキングサービス」の提供を開始予定であることを発表した。
サポート対象となる通貨はTezos(XTZ)で、利用顧客は手持ちのXTZを(委託者/ベーカーである)コインベース・カストディのサービスに預けることにより、報酬が得られる仕組みとなっている。
Coinbase Custody offers staking support for our first asset, $XTZ from @tezos: pic.twitter.com/FEg92KKLog
— Coinbase Custody (@CoinbaseCustody) March 29, 2019
DPoS利用の仮想通貨Tezosについて
Tezosは、2014年よりスタートしているプロジェクトで、分散型アプリケーション(dApps)のプラットフォームだ。そのコンセンサスアルゴリズムには「Delegated Proof of Stake」を採用している。
Tezosのネットワークを構成する要素として、主に以下の項目がある。
- ベーカー(Baker)
- 是認者(Endorser)
- デリゲート(委任)サービス
ベーカーと是認者
Tezosのネットワークにおいて、ブロック生成を担当するノードを「ベーカー(Baker)」と呼び、ブロック生成する行為はベーキングと呼ばれる。ベーキング権を得るためにはXTZをステークする必要があり、最低10,000XTZをステークする必要がある。
是認者と呼ばれるノードは、ベーカーが生成したブロックが正しいか否かを確認し、正しければそのブロックを是認するという役割を担っている。また、この是認者はランダムに32名が選出される。
デリゲートサービス
Tezosの仮想通貨であるXTZの保有者は、ベーカーにXTZを委託することで代理権を得ることができる。そして、約二か月のサイクルで報酬を得られる。また、委託を継続し続けた場合は、報酬を受け取るペースは早くなり、約20日に一回となる。
前述した、これら三つの要素がTezosネットワークを構成する基礎となり、今回新たに発表されたコインベースのカストディサービスを理解する上で重要となる。
コインベースの新カストディ・サービス
今回の新サービスではコインベース・カストディは、「ベーカー(ブロック生成者)」として振る舞うことになり、そこに通貨を預金した同カストディサービスの利用者は、デリゲートサービスの利用者という形で報酬を受け取ることができるという仕組みになっている。
同社の大口顧客の多くがセキュリティ・リスクなどを懸念に、PoSにおけるバリデーター(承認者)になることを避けていたことから、このサービス提供の着想に行きつくきっかけとなったとのことだ。
コインベースはブログ内で以下のように述べている。
コインベース・カストディを立ち上げる理由はシンプルだ。それは機関投資家らが、仮想通貨を保管するための、規制が整った、信頼のおける機関を必要としているということだ。
新サービスの主な特徴に、同社は以下の3つを挙げている。
- ・100%オフラインで、隔離されたストレージで顧客の資金を管理する。また、その資金は全てベーカーのために利用される。
- ・コインベース・カストディは委託者(ベーカー)として、ステーキングサービスを提供する。
- ・預金、引き出しなどでは、利用しやすいシンプルなシステムを利用する。
このカストディサービスのローンチを受けて、Tezosの共同設立者Kathleen Breitmanもコメントを発表している。
コインベース・カストディが提供する「Tezosステーキングサービス」は、ずっと必要とされてきたものだ。
機関投資家が(ネットワークに)参加するためには、ネットワークのノードを担当する、安全かつオフラインのカストディ提供者の存在が求められるからだ。
このPoS(DPoS)のシステムを利用した、新たなカストディサービスの発表後、複数の海外メディアでも取り上げられていることからも、同サービスに対する、機関投資家や大口投資家からの関心や期待の高さがうかがえる。今後の動向に注目だ。