DTCCがホワイトペーパー公表
世界最大級の証券保管振替機関として機能するDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は12日、ブロックチェーンのセキュリティに関するホワイトペーパーを公表。ブロックチェーン技術の普及拡大に備え、対策の必要性を訴えている。
DTCCは日本でいう「証券保管振替機構(ほふり)」に該当する機関。資産のカストディや有価証券の発行業務では、170の国と地域でサービスを提供、その取り扱い資産額は52兆ドル(約5700兆円)を超える。
DTCCはホワイトペーパーの中で、業界で包括的なセキュリティの枠組みを作ることを提案。現在のガイドラインを再確認し、ブロックチェーンのセキュリティに関して欠けている部分を見極め、基準を増やすことを促している。また、このテーマを主導するため、業界の共同組織を作ることも提案した。
ブロックチェーンのセキュリティの枠組みでポイントとなるのは、以下の内容だ。
- セキュリティについて、最良事例やツールを提供するすることによって、企業のリスク評価をサポートする
- 極秘情報の作成、保管、破棄といった管理サイクルに関するセキュリティ対策に取り組む
- 暗号技術や標準化された認証方法を利用すること、またブロックチェーンと従来のIT技術のセキュリティの差を埋めることに関して、ガンダンスや実践例を提供する
DTCCのセキュリティ責任者は、「金融サービスにおけるブロックチェーンの普及は、これから拡大していく。市場の安全と安定を維持するために、技術特有のリスクを把握し、対策をしていかなくてはならない」と説明。また「ブロックチェーンは大きな可能性を秘めているが、どんな技術でもそうであるように、リスクも含んでいる。従来の対策では不十分なため、新たな取り組みが必要だ」と語っている。
DTCCは、ブロックチェーン特有のセキュリティリスクに備えるため、原則主義に基づいた枠組みの構築にあたって、協調戦略を求めるという。銀行や規制機関らがまとまって標準化を進める必要があると説明した。
参考資料 : DTCC