ロスカットの保険基金への影響
新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受ける仮想通貨(暗号資産)の乱高下する相場で、大手デリバティブ取引所のBitMEXとDeribitでは今週、大規模なロスカットが発生した。
その際保険基金は、BitMEXで過去最高額に達し、Deribitでは約50%減少している。
保険基金は、トレーダーが清算不可能な状況に陥った資金を保証するために利用される。ユーザーの資産やロスカットの金額に比例して、基金は変動する。取引を清算する際に、支払い不可能になったトレーダーから支払いを要求するのではなく、保険基金から利益分をトレーダーに分配する仕組みで、保険基金の積み立てが多いほど、利益の受け取りを保証することにつながり、投資家は安心してトレードできるようになる。
半減したDeribitの保険基金の推移は以下のグラフだ。11日に392BTCあったDeribitの保険基金は13日に198BTCまで減少。今回の減少で、Deribit側の自己資産から500BTCを保険基金に追加することが発表された。
Deribitは、保険基金を使い果たすことによる損失を抑え、最終的にトレーダーに負担させることを防ぐための措置だと発表している。
一方BitMEXの保険基金は3万6493BTCまで増加。残高の推移は以下のグラフのようになっている。BitMEXは、ポジションにおける理論上の最大額に達する前に精算を実行。その差を活用し、保険基金を増加させている。
また、13日午前の仮想通貨市場の暴落で、BitMEXではクラウドサービス業者のハードウェアに問題が発生し、取引サービスが一時停止する事態となった。日本時間の11時16分から11時40分(UTC 02:16~02:40)までの間サービスに遅れが生じ、その後12時00分になって正常に戻っている。