ビットコイン年初来高値更新:アルトコインは対BTCで失速目立つ

BTC対ドルは底を固め反発:アルトコイン離れでBTC人気加速か

3日から4日にかけての相場下落を受け、先週は一旦底を探る展開を予想したが、BTCの対ドル相場は7800ドル周辺で横ばいとなると、米ICE(インターコンチネンタル取引所)のBakktのテスト日の発表や、バイナンスがアメリカ人の利用を今年9月から禁止するとの報道を受け、相場は6日間続伸とし16日には先月30日につけた年初来高値(9008.31ドル)を更新し、翌17日には9438.1ドルの高値を付けた(第1図)。バイナンスはアメリカ人の利用者が多く、取り扱い銘柄数も多いため、アルトコインをBTCに換え他の取引所に送金する動きがあったことが指摘される。

このため、ドル建てでは主要アルトコインも先週は上昇につけたが、BTC建てでは概ね下落となり、BTC人気が加速した格好だ(第2、3図)。8月に半減期を控え上昇していたLTCの対BTC相場も、週次では小幅高としたが、直近6日間では強く売り崩されている。

一方、先日、香港を拠点とする証券の発行・取引プラットフォームのLiquefyとの提携を発表し、独自のSTO(セキュリティー・トークン・プラットフォーム)エコシステムのローンチ予定が報道されたNEOのNEOトークンは、対ドルで21.86%、対BTCで4.27%と主要銘柄の中では最も高いパフォーマンスを記録した。

先週火曜日(11日)時点の米BTC先物市場におけるファンド勢のネットポジションは前回(6月4日時点)の-337から-971となり、ショートへの偏りが増加した。内訳を見ると、先週に引き続きロングが手仕舞い(-203)された一方で、ショートが391枚積み上がっていた。ロングとショートの相対的な勢いを示すCOTインデックスは、前回の65.71%から22.4ポイント下落し5週ぶりに50%を割り込み相対的に弱気筋優勢となっている(第4図)。BTCの現物相場は年初来高値の更新となっているが、引き続きファンド勢のポジション動向には注意したい。

【第1図:BTC対ドルチャート(日足)】

出所:coinmarketcapより作成

【第2図:主要暗号資産銘柄対ドル週次騰落率(6月10日〜16日)】

※先週の騰落率(6月10日〜16日)
出所:coinmarketcapより作成

【第3図:主要アルトコイン対BTC週次騰落率(6月10日〜16日)】

※先週の騰落率(6月10日〜16日)
出所:investing.comより作成

【第4図:米先物ファンド勢ネットポジション(緑棒グラフ、右目盛) 、COTインデックス(ピンク線グラフ、左目盛)チャート(週次)】

出所:CFTCより作成

今週の注目イベント

今週は、FATF(金融活動作業部会)の総会が16日から21日にかけて米国はオーランド州で開催されている。FATFはマネーロンダリング防止策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)に関しての国際的な規制基準を設定する組織であり、2015年には暗号資産市場に関する規制ガイドラインを発表している。

今回のFATF総会では、先日の20ヶ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議の共同声明で触れられた、FATF勧告15の解釈ノートの本採用が見込まれている。

FATF勧告とは、加盟国に遵守義務が生まれる、AMLやCFTに関する一連の規制基準であり、40の勧告と9つの特別勧告から構成されている。勧告15には、暗号資産関連事業者の登録制度の導入などが昨年10月の総会で盛り込まれ、その後、今年2月には同勧告に関する解釈ノートの草稿が発表され、4月に発行されたG20宛のレポートにはその改善版が盛り込まれていた。

解釈ノートの注目ポイントとしては、「FATF勧告が適用されるために暗号資産を『資産、収益、資金』として捉えるべき」といったことや、暗号資産関連事業者の登記地での登録またはライセンス取得を運営の最低条件とすることなどがあるが、2月に発表された草稿から大きな変更点はないため、今回のFATF総会では市場にとってサプライズとなる材料はないだろう。

もう一つの注目イベントとしては、本日から明日にかけて開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)がある。昨今では、複数のFRB(連邦準備理事会)当局者が利下げについて言及しており、既存金融市場では大きく注目されている。市場では現在のレート(2.37%)が据え置きされるという予想が目立つが、万が一今回利下げ判断が下されれば、明確な景気減速のサインとして受け止められるだろう。また、ドル建てで資産を持つインセンティブも後退することから、強い上昇トレンドを形成するBTCなどに投機的な逃避資金が流入する可能性も指摘される。

テクニカル分析

BTCの対ドル相場は9日に7日移動平均線が30日線でデッドクロスを示現するも、その後相場は持ち直し15日には再びゴールデンクロスを示現した。先週は30日線が横向きになっていたが、こちらも上向きに転じ、中期的にも上昇相場を示唆している。ボンリンジャーバンドでは、-1σ(7750ドル周辺)から相場が反発し、14日にはセンターラインを上抜け、16日には2σ(9103.73ドル)をタッチしたため、この先も相場続伸が期待される。一目均衡表では、先週、均衡表が一時逆転するも、足元では強い買いシグナルとなる三役好転を再び示現している。

【第5図:BTC対ドルチャート(日足)】

出所:coinmarketcapより作成

BTC対ドルの週足チャートでは、7週移動平均線がサポートとなり先週は大幅反発。各移動平均線とも上向きとなっており、短中長期で上昇相場を示唆している。ボリンジャーバンドでは、1σがサポートとなり反発。バンド上辺が折り返すまでは相場が上昇しやすいだろう。一目均衡表では、均衡表と遅行スパンが好転しているが、相場は抵抗帯の中にあるため揉み合いとなりやすいと言える。

【第6図:BTC対ドルチャート(週足)】

出所:coinmarketcapより作成


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