仮想通貨USDTが一時29%高の異常値 ビットコイン価格への影響を過去事例から考察

仮想通貨USDTが一時29%高の異常値

仮想通貨市場で15日、ドル価格に連動する仕組みを持つステーブルコイン「USDT(テザー)」の価格が、一時1USDT=1.29USDまで、29%の乖離が発生していたことがわかった。

通常、マーケット価格が変動する仮想通貨の急ピッチな値動きを報告するパンプBOTなども、今回のUSDTの値動きを急騰として報告。国内外のトレーダーが、今後の値動きに対して一時警戒感を高める状況に発展した。

USDTの値動きは、過去にもビットコインの値動きに影響してきた側面があるが、実際に値動きに影響があるのか検証するために、過去事例を振り返る。

過去事例

USDTの価格急騰は3回目

過去に10%以上乖離した事例を調査した結果、USDT価格の急騰は今回を除いて過去に2度確認された。

1回目:5月11日 1USDT=1000USDに到達

2回目:9月16日 1USDT=394ドルに到達

これをビットコインのチャート上で示すと以下の通りになる。

どの状況も、ビットコインの前後に相場が急変動していることが確認されているが、相場の方向性はバラバラであり、相関性は確認されなかった。

影響する事例と需給の乱れ

仮想通貨ビットコイン(BTC)は一時3000ドル台に突入するも、その後急反発するなど、過去に類を見ない乱高下が続いた先週末。USDT価格の高騰が、今後の値動きに影響を与える可能性を模索する声も多いが、過去事例を踏まえると、現時点ではUSDT関連の需給が乱れたことに伴う価格の急変動の可能性が高い。

混迷を深めている世界経済の状況も踏まえ、BitMEX Researchも「投資家が米ドルに資産退避させようとしている動きは、仮想通貨もまた然りだ」と指摘。株式、コモディティ、社債、仮想通貨から資金流出しているとの見立てを示している。

USDT価格は、1ドルと同価値で推移するよう設計されている通貨ではあるが、板取引を中心としたマーケットがあるため、このような一時的な異常値は、起こり得る。

一方で、一時的な事象に留まらず乖離が続くようなことがあれば、ビットコイン相場を含め、過去事例からより警戒される状況に陥るため、引き続きUSDT価格の変動値には注視したいところだ。

例えば、過去に10%を超える乖離は確認されていないものの、USDTが相方向に張り付いた事例には、価格操作の可能性が指摘された2017年末の事例や、明確に資金の流入出が逆相関を示した2018年10月の事例などがある。

2017年の仮想通貨バブル当時のUSDT価格推移

2018年10月

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